北海道を代表する民謡の一つ。ニシン(鰊)漁で歌われる労作歌で,初めに〈ヤーレンソーランソーラン……〉と歌い出すところから名がつけられた。ニシン漁はその作業によって〈船漕ぎ音頭〉〈網起し音頭〉〈沖揚げ音頭〉などが歌われるが,この歌は〈沖揚げ音頭〉である。とったニシンを汲(くみ)船(運搬船)に移す作業を〈沖揚げ〉といい,この時に歌われるのが《ソーラン節》で,〈ヤーレソラソーラ〉と漁師たちを力づけ,囃したてる言葉とみてよい。それに答えるように〈ハイハイ〉と受けるのである。いかにも男性的な力強い海の男の歌である。古くは青森県の港で歌われていたが,ニシン漁で北海道に渡る漁師たちによって運ばれたという。
執筆者:須藤 豊彦
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北海道の日本海沿岸部の民謡。同地方でニシン漁に従事する「ヤン衆」たちによって、枠網の中に入ったニシンを、直径三尺(約90センチメートル)ほど、柄の長さ一丈(約3メートル)余りの大たも網を3、4人で用いてすくいあげるおりの沖揚げ作業の仕事唄(うた)として歌われてきたもの。その源流は、青森県旧南部領沿岸部の「荷上げ木遣(きやり)」である。それがハタハタ漁などに用いられているうち、1850年(嘉永3)佐藤伊三右衛門が、ハタハタ漁に使用する建網(たてあみ)漁法を歌棄(うたすつ)(北海道寿都(すっつ)町)や磯谷(いそや)(北海道蘭越(らんこし)町)のニシン漁場へ持ち込んだとき、この唄もともに伝えられ、沖揚げ作業に用いられるようになった。その『ソーラン節』が1935年(昭和10)ごろ札幌の今井篁山(こうざん)によって伴奏がつけられると、北海道を代表する唄になった。
[竹内 勉]
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…通常,夜に行われ,建網に魚群が入ると,起し船の船玄に一列に並んだ漁夫13人ほどが元船のほうへ網を手繰り寄せ,枠船にニシンを落とし込み,その後枠船から汲み船へニシンをたも網で移し,陸岸に運ぶ。網の手繰りや汲み船へのニシンの移転の際,拍子を取って歌われる作業歌が《網起し音頭》や《ソーラン節》である。松前藩では当初,ニシン漁業には刺網以外の網の使用を禁止していたが,西蝦夷地の一般小漁民による安政の建網切騒動の後,建網漁が公許され,従来の4~5倍の漁獲がなされるようになった。…
※「ソーラン節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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