翻訳|churning
クリームをチャーンという装置に入れ,振盪(しんとう),かくはんしてバター粒子を生成させる操作をいう。バター製造中もっとも重要な工程である。チャーンには木製チャーンとメタルチャーンがあるが,機能的にも衛生的にも後者が優れている。また,チャーニングの次の工程であるワーキングも行える型式のものはコンバインドチャーンと呼ばれる。チャーニングにより,クリームからバター粒子が生成する理論には相転換説と泡沫説の二つがある。(1)相転換説 クリームもバターも水と脂肪からなるエマルジョンであるが,クリームは水の中に脂肪が分散している水中油滴(O/W)型エマルジョンであり,バターは脂肪の中に水が分散する油中水滴(W/O)型エマルジョンである。クリームの脂肪球はリポタンパク質の皮膜に覆われて互いに融合しないが,かくはんにより皮膜が破れて脂肪が融合すると,エマルジョンの相が変わって水中油滴型から油中水滴型となり,バター粒子が生成する。(2)泡沫説 クリームのかくはんにより泡が生じ,その中に脂肪球が移行して互いに接触しやすくなる。次に泡が空気に触れると皮膜タンパク質が表面変性を起こして徐々に固化し,ついには皮膜が破れて脂肪が融合し,バター粒子が生成する。
→バター
執筆者:吉野 梅夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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