ツルナ科(読み)ツルナか(英語表記)Aizoaceae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツルナ科」の意味・わかりやすい解説

ツルナ科
ツルナか
Aizoaceae

双子葉植物アカザ目の1科。広義のツルナ科は南アフリカを中心に新旧両大陸の熱帯亜熱帯に約 130属 1200種がある。ナデシコ科アカザ科サボテン科などとの関連が深く,ほとんどが草本ないし小低木で乾燥気候に適応した形のものが多い。葉は多くは対生するが互生するものもあり,しばしば多肉葉となる。花は放射相称両性花で,花被は4~5数性,おしべは5本,ときに3本または多数のものもある。子房は1~数室で各室の内部の中軸に多数の小さな種子をつくる。ツルナ属などを狭義のツルナ科として,南アフリカにはなはだしく分化したマツバギク科 Mesembryanthaceae,雑草としても世界に広く分布するザクロソウ科 Molluginaceaeなどをそれぞれ独立科とすることもある。マツバギク科には花が美しく,また多肉植物となるものが多く,園芸植物を多数含む。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツルナ科」の意味・わかりやすい解説

ツルナ科
つるなか
[学] Aizoaceae

双子葉植物、離弁花類。草本または半低木。葉は対生、輪生、または互生し、しばしば肉質。托葉(たくよう)はない。花は単生し、両性で放射相称。花被片(かひへん)は4、5枚。雄しべは普通は4、5本で、多数のものもあり、外側のものは花弁状に細裂する。子房は上位または下位。果実は蒴果(さくか)または堅果。世界に約11属2500種あり、熱帯地方、とくにアフリカに多い。日本にはツルナ属、ミルスベリヒユ属の2属各1種が分布し、マツバギク属のものが栽培される。

[小林純子 2021年2月17日]

 APG分類では、和名をハマミズナ科としているが、ツルナ科が使われることもある。世界に123属約2000種ある。

[編集部 2021年2月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のツルナ科の言及

【多肉植物】より

…熱帯を中心に世界各地の乾燥地域で進化した50科8000種以上の大群である。系統的にはまったく異なった植物群で,独立的に多肉化が起こっていて,ほぼ全種が多肉植物で構成される代表的な科には,ベンケイソウ科(35属1300種),ツルナ科(リトープス属Lithops,マツバギク属Lampranthusなど130属2000種),スベリヒユ科(アナカムプセロス属Anacampseros50種,スベリヒユ属Portulaca30種,レビシア属Lewisia20種など16属500種),ディディエレア科(ディディエレア属Didierea2種,アルアウディア属Alluaudia6種など4属11種)がある。科か属の大多数あるいは一部が多肉植物であるものには,ガガイモ科のスタペリア類(スタペリア属Stapelia,カラルマ属Caralluma,ホオディア属Hoodia,トリコカウロン属Trichocaulon),セロペギア属Ceropegia,サクララン属Hoyaなど28属700種,ユリ科のアロエ類(アロエ属Aloe,ハウォルティア属Haworthia,ガステリア属Gasteriaなど),トウダイグサ科のユーフォルビアEuphorbia(多肉種500種),モナデニウム属Monadenium(50種),ヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)属Jatropha(10種),リュウゼツラン科のリュウゼツラン属Agave(300種),トックリラン属Nolina(25種),ユッカ(キミガヨラン)属Yucca(60種)など7属485種,キョウチクトウ科のパキポジウム属Pachypodium(20種),アデニウム属Adenium(12種),キク科の多肉セネシオ類(80種),オトンナ属Othonna(40種),ブドウ科のシッサス属Cissus(15種),コショウ科のペペロミア属Peperomia(100種以上),アカザ科のアッケシソウ属Salicornia(30種),フウロソウ科のサルコカウロン属Sarcocaulon(12種),トケイソウ科のアデニア属Adenia(20種),ウリ科のクセロシキオス属Xerosicyos(2種),フォウキエリア科の観峰玉(かんぽうぎよく)Idria columnaris Kellog.などがある。…

※「ツルナ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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