テコドント(その他表記)thecodont

改訂新版 世界大百科事典 「テコドント」の意味・わかりやすい解説

テコドント
thecodont

爬虫類で進歩した双弓類(亜綱Diapsidaの一つ。恐竜祖先型にあたる槽歯目Thecodontiaを指す。前顎類,偽顎類,鷲竜(しゆうりゆう)類,植竜類という4亜目がある。ヨーロッパ,アフリカ,アジア,アメリカなどに広く分布していた。歯が顎骨の歯槽にしっかり植わっていることを意味する槽生thecodontyに由来する。二畳紀後期に祖先的なものが現れたが,三畳紀に栄え,この時代で絶滅した。古い槽歯類は完全な四足歩行で恥骨がやや長い。胴と四肢は太く,尾の短い不格好な動物である。偽顎類のエウパルケリアEuparkeriaは体長1m大の肉食,二足歩行性で恐竜の祖先型の代表と考えられている。多くの種類が含まれる。オルニトスクスやサルトポスクスなどはより大型となる。鷲竜類は四足歩行で,硬い甲に覆われ,水辺で両生生活をしていて植食性。植竜類は側顎類ともいうが,ワニに似た体長4mに及ぶフィトサウルスで代表される。鷲竜類とともに二次的に四足歩行性になったと思われ,ルチオドンやデスマトスクスなどは攻撃的な動物だったと考えられている。中国には多くの種類が知られているが,ロトサウルスはとげ状突起が長く発達したもので,ナンチャンゴサウルス魚竜のように水生生活に適応した形態をしている。ソ連から出土したロンギスクアマ背中に羽が生じ,空中生活が可能であった。ポドプテリスクアマコウモリのように皮膜が発達していて空中を滑空したらしい。すなわち,三畳紀にテコドント類は水中,空中などにも生活空間を広げた最初のグループであった。
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百科事典マイペディア 「テコドント」の意味・わかりやすい解説

テコドント

槽歯(そうし)類とも。ペルム紀後期〜三畳紀の原始的な爬虫(はちゅう)類の一群。恐竜や鳥類などの祖先にあたる。ユーパルケリアは二脚歩行性,体長1mほど。ルティオドンはワニに似る。

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世界大百科事典(旧版)内のテコドントの言及

【歯】より

…代生歯の歯胚はこの歯槽の中で発育する。このような植立の方式を〈槽生thecodont〉といい,ワニなど高等な爬虫類にもみられるものだが,セメント質の発生は哺乳類独特のものである。 第3は,はえる歯の数が少なく,種ごとに一定していることである。…

※「テコドント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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