テューリング(英語表記)Turing, Alan Mathison

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テューリング」の意味・わかりやすい解説

テューリング
Turing, Alan Mathison

[生]1912.6.23. ロンドン
[没]1954.6.7. ウィルムスロウ
イギリスの数学者物理学者。特に計算機の研究で知られ,計算機がどこまで論理的に働きうるかについて,初めて知的な実験を試みた学者といわれる。ケンブリッジ大学に学び,1935年同大学特別研究員,36~38年渡米し,プリンストン大学の A.チャーチのもとで研究。プリンストン滞在中に書いた論文『計算可能な数と決定問題への応用』 (1937) は,いわゆるテューリング機械を提案しており,数理論理学および計算機理論の発展において画期的なものである。同年に書いた"Computability and λ-Definability"は,テューリング機械で計算可能な関数帰納的関数とが同等であることを証明した論文で,やはり基本的に重要なものである。第2次世界大戦中イギリス外務省報道部に勤務 (39~45) ,暗号解読に従事,ドイツの暗号「エニグマ」の解読に貢献した。国立物理学研究所で計算機の製作計画に参加 (46~48) ,46年勲功章受章,51年ロイヤル・ソサエティ会員。生涯独身で過し,マラソンチェス趣味とし,天才肌でエピソードに富む。同性愛の「治療」を強いられて服毒自殺をとげた。

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