テラマーレ文化(読み)テラマーレぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「テラマーレ文化」の意味・わかりやすい解説

テラマーレ文化 (テラマーレぶんか)

イタリア北部ポー川流域,とくにエミリア地方に広まった青銅器時代中期,後期の文化。この地方の低湿地帯を覆う〈肥沃黒色土〉(テラマーレterramareまたはテラマルナ)を包含層とするためこの名称があり,テラマリコラ文化ともいう。中期前半の集落は土塁や濠(ほり)をめぐらせていないが,後半から防衛施設を有し,杭上住居も多く見られる。青銅製の斧,留め針両刃かみそり,それに小型の彫像が出土し,土器灰色もしくは黒色の研磨土器で,同心円文などの幾何学形沈線文,いぼ状突起,角(つの)形把手を有している。埋葬法は火葬で,円錐形を二つ組み合わせたような骨壺に盃形の蓋をした。農業・牧畜を経済基盤とし,牛,馬,豚,羊などの飼育,小麦,レンズマメなどの栽培を行った。文化の担い手は,ドナウ川流域からの移住者であり,鉄器時代初期にアペニノ文化に吸収される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テラマーレ文化」の意味・わかりやすい解説

テラマーレ文化
テラマーレぶんか
Terramare culture

イタリア半島北部パナロ川西方,アペニン山脈北部に前 1500~1000年頃栄えた中・後期青銅器文化。テラマーレとはエミリア地方の方言で「肥沃な黒土」を意味する。狩猟,牧畜,農耕が行われ,専業集団によって青銅器,陶器が生産された。ハンガリー,オーストリア地方のウルネンフェルト文化関係があり,当初イタリア北部にみられ,やがて南部にも浸透した。

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