ふつう火山灰土壌の有機物に富む黒い表層土をさしていう。地方により黒ノッポ,黒オンジなどさまざまに呼ばれる。黒土層の下方には俗に赤土と呼ばれる明るい褐色の風化火山灰層がつづく。世界の火山灰土壌の中でも,日本のものの表層土はとくに黒みが強く,また有機物含量(平均十数%)も高い。黒土層はススキなどの草本植生のもとで発達したとされ,ススキの旺盛な生長力と温暖多雨気候が黒土発達の条件と考えられる。14C年代測定によると黒土層の年代はほとんどが1万年未満で,とくに現世に入ってから黒土層の発達する条件が整ったことが知られる。火山灰の降下が植生を破壊せずに継続すると,黒土層は上方へと厚みを増し,厚さ1mをこえる黒土層も珍しくない。逆に現世に入って火山灰の降下が少ないか,絶えず浸食を受ける所では黒土層はごく薄くなる。黒土を〈こくど〉というときはチェルノーゼムを指す。
執筆者:三土 正則
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…地方により黒ノッポ,黒オンジなどさまざまに呼ばれる。黒土層の下方には俗に赤土と呼ばれる明るい褐色の風化火山灰層がつづく。世界の火山灰土壌の中でも,日本のものの表層土はとくに黒みが強く,また有機物含量(平均十数%)も高い。…
…夏の乾燥と冬の低温のためこの大量の植物遺体はゆっくり分解される。したがってステップの土壌はチェルノーゼム(黒土)と呼ばれるように腐植に富み,草本の根の密な発達で保水性や通気性もよく豊かである。黒土地帯にはコムギ,オオムギ,トウモロコシなどの作物が栽培され,世界有数の穀倉地帯となっている。…
…温帯の大陸性半乾燥気候下の多年生イネ科高茎草本を主とする自然草原(ステップ)に発達する土壌。ロシア語で〈黒い土〉を意味する言葉に由来し黒土(こくど)と訳されることもあるが,単なる黒色の土壌ではなく,日本で一般に黒土(くろつち)と呼ばれるものとはまったく異なる。ステップでは春先の融雪水と初夏の降雨によって草本類が急速に生長し,多量の有機物が土壌に供給される。…
※「黒土」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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