デカップリング

百科事典マイペディア 「デカップリング」の意味・わかりやすい解説

デカップリング

農業政策において,政府農産物への補助金支給で農家を支えるのではなく,所得政策で農家を助成するという考え方。この二つの政策を切り離す(decouple)ことをデカップリングという。1987年の米大統領予算教書に登場した新しい農業政策の方向で,農産物価格を市場性にゆだねることがこの政策の柱である。1992年EUも共通農業政策で初めてこの考え方を導入。WTO世界貿易機関)体制下ではデカップリングが世界の趨勢となっている。競争にさらされる農家を支えるための国内農業保護政策としては,社会福祉としての生産者への最低所得保障政策,構造調整政策,所得安定化政策,環境保全のための公共的政策などがある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デカップリング」の意味・わかりやすい解説

デカップリング
decoupling

生産,消費あるいは貿易にひずみを与えない方法で農民の生活を支持するという考え方を示す用語。その目的は,自国の農業政策が他国に及ぼす影響を最小にすることにある。具体的には,農民の生活費を生産,消費あるいは貿易に影響を与えない方法で支給することが考えられる。ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉においてアメリカは,補助金はすべて 10年間で撤廃という提案を行なったが,その例外の一つとしてデカップリングをあげている。しかし ECは生産,消費あるいは貿易に全く影響を与えないデカップリングはありえないとし,これはアメリカが自らの補助金システムの維持を狙うものとして反対した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のデカップリングの言及

【農業政策】より

… なお,アメリカとEUはWTO再交渉をにらんですでに新たな農業政策を展開している。アメリカの農業政策はニューディール以来60年にわたって,農産物供給過剰による価格暴落に伴う農業所得の激減を生産調整と農産物価格支持によって補償することが中心であったが,1996年農業法によって生産調整を廃止し,作付を完全に自由化するとともに,農産物価格を通じた不足払い制度による間接的な農業所得補償制度を廃止して,生産とはリンクしない直接所得補償(デカップリングという)を導入し,農業政策の大転換を行った。また土壌保全を図る一方,環境保全型農業の奨励の方向を明確にした。…

※「デカップリング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

一度利用した製品を捨てずにそのまま再使用すること。ごみの削減に重要だとされる「3R」の一つで、衣類・服飾品や家電などさまざまな品目が取り扱われている。リユース商品の専門店やイベント、フリーマーケット...

リユースの用語解説を読む