デファクトスタンダード(読み)デ ファクト スタンダード

デジタル大辞泉 「デファクトスタンダード」の意味・読み・例文・類語

デファクト‐スタンダード(de facto standard)

《de factoはラテン語で「事実上の」の意》ISOJISなどの規格制定機関認定によるのではなく、市場競争を勝ち抜くことによってその業界標準と見なされている規格。事実上の標準。業界標準ディファクトスタンダード。→デジュールスタンダード

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知恵蔵 「デファクトスタンダード」の解説

デファクト・スタンダード

公的な標準化機関が認証したか否かにかかわらず、パソコンの基本ソフトWindowsビデオVHS方式のように市場大勢を占めるに至った事実上の標準ないしは規格のこと。これに対して、ISO(国際標準化機構)やJIS(日本工業規格)などの公的標準化機関による規格のことをデジュア・スタンダード(de jure standard:公的標準)という。デファクト・スタンダードを獲得する利点は、販売や特許から大きな収入が期待できること、生産規模増大によるスケールメリット、さらには、輸出相手国に合わせて異なる生産体制をとる必要がなくなる点などがある。逆に、マイクロソフト社のように市場の独占度が高まることで競争法の適用対象となったり、製品の多様性が極端に失われたりすることなどが、デメリットとして指摘される。

(高橋郁夫 慶應義塾大学教授 / 2008年)

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IT用語がわかる辞典 「デファクトスタンダード」の解説

デファクトスタンダード【de facto standard】

事実上の標準。国際機関や業界の標準化団体により公的に承認された標準ではなく、市場の実勢や評価により標準として広く普及している規格や製品。パソコン向けのオペレーティングシステムWindowsインターネット通信規約であるTCP/IPQWERTY配列キーボードなどがある。◇「de facto」はラテン語で「事実上の」の意。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「デファクトスタンダード」の解説

デファクトスタンダード

「事実上の標準」。ISO、JISといった国内外の標準化機関が定めていないにもかかわらず、市場競争の結果、グローバルスタンダードが成立していること。逆に、標準化機関などによって定められた規格をデジュリスタンダードという。メーカー独自の技術や仕様を使った製品が市場により多く普及することによって、他のメーカーの製品もその規格に対応するようになり、その規格が事実上の標準となる。製品がデファクトスタンダードを確立すると、製品の国際競争力が付いて市場が大幅に拡大し、大きな利潤を得られる。例としては、通信規格のTCP/IP、Windows OS、Blu-ray、メモリーカード市場でのSDカードなどが挙げられる。

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とっさの日本語便利帳 「デファクトスタンダード」の解説

デファクト・スタンダード

事実上の標準。公的機関が定めた標準ではなく、特定の製品や規格が、事実上の標準として通用すること。〈活用例〉ビデオにおけるVHSのようなデファクト・スタンダードは、企業の永続性を保証する

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世界大百科事典(旧版)内のデファクトスタンダードの言及

【電子情報の国際標準】より

…こうしてその製品の技術仕様が〈事実上〉の標準となることがある。これをデファクト標準(デファクトスタンダード)という。かつて汎用コンピューターが利用の中心であった時代では,その大半のシェアを占めていたIBM社の打ち出す技術仕様がデファクト標準であった。…

※「デファクトスタンダード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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