ドラランド

百科事典マイペディア 「ドラランド」の意味・わかりやすい解説

ドラランド

フランスの作曲家,オルガン奏者。ラランドとも。いわゆる〈ベルサイユ楽派〉を代表する大作曲家の一人で,モテットの発展に寄与した。パリに仕立て屋の子として生まれ,少年聖歌隊で音楽を習得。1683年ルイ14世の礼拝堂楽長の一人に選任され,のち王室楽長に就任リュリ亡き後の宮廷音楽界に君臨した。国王の礼拝のために,独唱重唱合唱管弦楽による約70曲のモテット(グラン・モテ)を残し,中でも壮麗な意匠を凝らした《深き淵(ふち)より》(1689年)は広く知られる。ほかに《テ・デウム》(1684年)などの宗教音楽,宮廷バレエ器楽曲がある。→カンプラクープラン

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改訂新版 世界大百科事典 「ドラランド」の意味・わかりやすい解説

ドラランド
Michel-Richard Delalande
生没年:1657-1726

フランスの作曲家。1683年からフランス国王の礼拝堂楽長,89年から室内音楽隊総監督を務め,宗俗両面で宮廷音楽の支配権を掌握した。70曲を超えるグラン・モテgrand motetの作曲家として知られる。ベルサイユ楽派のモテット(モテ)の頂点に立つとされる彼のグラン・モテは壮麗な様式を採りつつ合唱の間に独唱や重唱を挿入したもので,ドイツの教会カンタータの形に近づいている。《深き淵より》《ミゼレレ・メイ》《レジナ・チェリ》などがあり,それらは,国王の礼拝堂のために作曲されたが,1725年以降は,コンセール・スピリチュエルでも演奏され,聴衆の好評を得た。宮廷バレエや,《国王の夕食のための音楽》などの世俗音楽や器楽も作曲している。
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世界大百科事典(旧版)内のドラランドの言及

【カンプラ】より

…1694年パリに出,1723年よりルイ15世治下の王室礼拝堂楽長,30年よりオペラ座の総監督を務めた。彼の本領はオペラ・バレエopéra‐balletにあるが,宗教音楽の分野でも,ドラランドM.R.Delalande(1657‐1726)のあとを継いでカンタータ風モテットmotet‐cantateの確立に貢献した。作品には,オペラ・バレエ《恋のヨーロッパ》(1697初演),《ベネチアの祭り》(1710)など。…

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