ナイトロジェンマスタード

デジタル大辞泉 の解説

ナイトロジェン‐マスタード(nitrogen mustard)

制癌せいがん剤の一つで、白血病などに有効。マスタードガスから作られる。

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化学辞典 第2版 の解説

ナイトロジェンマスタード
ナイトロジェンマスタード
nitrogen mustard

N-bis(2-chloroethyl)methylamine.C5H11Cl2N(156.06).CH3N(CH2CH2Cl)2ビス(2-ヒドロキシエチル)メチルアミン塩化チオニルでクロル化すると得られる.流動性のある揮発性液体.融点-60 ℃.密度1.118 g cm-3.水に難溶,ジメチルホルムアミド,四塩化炭素に可溶.毒性が強く,皮膚に水泡をつくり壊死を起こす炎症剤で,第二次世界大戦で毒ガスとして使用された.塩酸塩は水溶性葉状晶.融点109~111 ℃.発がん性のアルキル化剤で,おもにグアニンN-7位に結合して,DNAの二本鎖に橋かけしてDNA合成を阻害するとみられている.この欠点を補ったN-オキシドは,抗悪性腫瘍剤として使われている.[CAS 55-86-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア の解説

ナイトロジェンマスタード

窒素イペリットとも。(ClCH2CH23Nまたは(ClCH2CH22NCH3イペリットの硫黄原子を窒素原子で置換したものに当たる。第2次大戦中の米国で毒ガスとして研究された。のちに各種の誘導体を含め制癌剤としてホジキン病リンパ肉腫などの治療に用いられたが,副作用が大きいため最近では使用されない。
→関連項目エンドキサン突然変異育種法

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ナイトロジェン・マスタード
nitrogen mustard

C5H11Cl2N 。無色の有毒な液体で沸点 87℃。第2次世界大戦前より毒ガスとして開発されたが,実戦には使用されなかった。付着すると治療困難なただれを生じる。突然変異誘導作用をもつことが知られており,白血病,リンパ肉腫などの悪性腫瘍の治療に用いられる。

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