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ナベブタムシ Aphelocheiridae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ナベブタムシ
Aphelocheiridae

半翅目異翅亜目ナベブタムシ科に属する昆虫の総称。水生のカメムシで,体は円形で扁平。口吻は非常に長く,中肢基節に達する。前肢基節は短小で,跗節は 3節である。後肢は長く,遊泳肢となる。通常短翅で,前翅は小さな円板状。後翅を欠くが,長翅型では膜質の後翅がある。成虫,幼虫ともに主として流水中にすみ,底の砂中などで生活する。成虫でも水中の酸素で呼吸することができる。コバンムシ科 Naucoridaeに近縁で,その一亜科とする見方もある。日本にはナベブタムシ Aphelocheirus vittatus(本州,四国,九州に分布),トゲナベブタムシ A. nawai(本州,九州,朝鮮半島に分布),カワムラナベブタムシ A. kawamurai(琵琶湖と琵琶湖疏水にのみ分布)の 3種を産する。(→異翅類半翅類

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ナベブタムシ
なべぶたむし / 鍋蓋虫

昆虫綱半翅(はんし)目異翅亜目コバンムシ科Naucoridaeナベブタムシ亜科Aphelocheirinaeの昆虫の総称、またはそのなかの一種。体長6~10ミリ、体は円形から楕円(だえん)形で扁平(へんぺい)。口吻(こうふん)が長く、中脚まで達し、触角も長く、背面からその先端部を認められ、脚(あし)(ふせつ)は可動性であるなどの点でコバンムシ類と区別される。雄生殖節は左右不相称。はねは普通短く、半円形で板状であるが、まれに長三角形で長い(長翅型)ことがある。成虫、幼虫とももっとも水中生活に適応し、特殊な呼吸方法で水中の酸素を利用する。普通、流水中にすみ、ときに急流中にもみられる。トビケラ幼虫などの水生昆虫類を捕食する。アメリカ大陸以外の世界各地に分布し、二十数種が知られる。
 ナベブタムシAphelocheirus vittatusは、体長約9ミリ。体は円形で扁平、黄褐色で、暗褐色ないし黒褐色の斑紋(はんもん)をもつ。はねは半円形で短いが、まれに長いものがある。後脚は遊泳脚となり、とくに脛節(けいせつ)節は長く、内側には長毛が密生する。ときに頭部中央以外が黒褐色となる黒化個体がみられる。日本特産種で、本州、四国、九州の渓流にすみ、底が砂質の所に多い。ほかに、前胸側方が強く突出するトゲナベブタムシA. nawai(本州から九州、朝鮮半島)、体がやや小さく、全体が黒いカワムラナベブタムシA. kawamurai(琵琶(びわ)湖疎水)が知られる。[林 正美]

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世界大百科事典内のナベブタムシの言及

【コバンムシ(小判虫)】より

…7月末には新成虫も若い幼虫も発見できる。近縁のナベブタムシAphelocheirus vittatusはコバンムシより幅が広く,平たいのでなべのふたのようだという意味。口吻は非常に長く,細いのでナベブタムシ亜科として区別される。…

※「ナベブタムシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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