ニコルプリズム

精選版 日本国語大辞典 「ニコルプリズム」の意味・読み・例文・類語

ニコル‐プリズム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] Nicol prism ) 方解石複屈折を利用して作られた偏光プリズム。稜に平行光線を送ると直線偏光が得られる。一八二八年、イギリスの物理学者W=ニコル考案。〔舶来語便覧(1912)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ニコルプリズム」の意味・わかりやすい解説

ニコルプリズム

直線偏光を得るために方解石でつくったプリズム。方解石のへき開片を切り,画面が68°になるようにしたものを対角線で切断し,カナダバルサムで再びはり合わせる。入射光は複屈折により常光線と異常光線に分けられ,常光線は接合面で全反射し,異常光線だけが透過して直線偏光が得られる。1828年英国の物理学者ニコルWilliam Nicol〔1768?-1851〕が考案。
→関連項目干渉色反射顕微鏡偏光顕微鏡偏光子偏光プリズム

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

法則の辞典 「ニコルプリズム」の解説

ニコルプリズム【Nicol prism】

透明方解石の結晶を自然劈開面に沿って切り出し,その後直角三角柱の一つの角を,天然の71° のところを68° に研磨してつくった三角柱状のものを2枚つくって,図のようにカナダバルサムを用いて接合してつくった偏光プリズム.複屈折のために異常光線と常光線に分かれた光のうち,常光線は接合面で全反射される.現在では使用波長領域の制限などいろいろな制限条件のために以前ほどは使われなくなったが,偏光子の意味で「ニコル」という言葉が使われるほど歴史的に有名な光学素子である.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のニコルプリズムの言及

【複屈折】より

…雲母などがこれに属する。 複屈折の応用として,偏光によって屈折率の異なることを利用して一つの偏光のみを取り出せるようにしたニコルプリズムなどの偏光子がある。また,相互に直交した二つの偏光の位相差を変えることを目的とする結晶板や,それの波長依存性を利用した複屈折フィルターなどが作られている。…

【プリズム】より

…(3)偏光プリズム 結晶の複屈折を利用して直線偏光を作るプリズムで,方解石や水晶などを光学軸に対して適当な角度に切断研磨したものを組み合わせて作る。ニコルプリズム(図5),グラントムソンプリズム,ウォラストンプリズム,ロションプリズムなどがある。ニコルプリズムは,方解石から作った同形の2個のプリズムをカナダバルサムで接合し,接合面で全反射された常光線を側面で吸収させ,異常光線だけを取り出して使用する。…

【偏光器】より

…(2)2個の複屈折結晶プリズムを組み合わせ,一方の直線偏光成分を全反射により除去する素子。これにはニコルプリズム,グラン・トムソンプリズムなどがある。(3)一方の直線偏光成分のみを強く吸収するような媒質を利用する素子。…

※「ニコルプリズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android