偏光子(読み)ヘンコウシ(その他表記)polarizer

翻訳|polarizer

デジタル大辞泉 「偏光子」の意味・読み・例文・類語

へんこう‐し〔ヘンクワウ‐〕【偏光子】

自然光偏光に変える素子偏光プリズム偏光板など。

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精選版 日本国語大辞典 「偏光子」の意味・読み・例文・類語

へんこう‐しヘンクヮウ‥【偏光子】

  1. 〘 名詞 〙 自然光を偏光に変える装置ポラロイドニコルプリズム、電気石板など。

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改訂新版 世界大百科事典 「偏光子」の意味・わかりやすい解説

偏光子 (へんこうし)
polarizer

自然光を直線偏光に変える素子。直線偏光子ともいう。これには,透明体の反射を利用したもの,複屈折性を利用したもの,円偏光二色性を利用したものがある。第1のものは,透明な等方媒質の表面に特定の角度で入射した光の反射光,または透過光が直線偏光となることを利用したもので,多層反射増加膜の偏光プリズムがある。第2のものは,結晶の複屈折を利用して自然光を直線偏光にするプリズムで,方解石水晶が使われる。ニコルプリズム,グラン・トムソンプリズムウォラストンプリズムなどがある。第3のものには,二色性をもつ結晶でつくられた薄い板状の偏光板がある。偏光板は,偏光プリズムに比較して一般に特性は劣るが,安価であり,かつ任意の大きさや形が容易に得られる。なお,偏光の有無,偏光の方向を知るために用いられる素子は検光子analyserと呼ばれるが,検光子には,ふつう偏光子と同じものが用いられる。
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百科事典マイペディア 「偏光子」の意味・わかりやすい解説

偏光子【へんこうし】

自然光を平面偏光に変える素子。偏光検出に用いるときは検光子という。方解石の複屈折を利用したニコルプリズム,光軸に平行に切った電気石の板などがあるが,最近では性能がすぐれ安価で大型のものがつくれる人造偏光板がおもに用いられる。人造偏光板には過ヨウ化硫酸キニーネ(ヘラパタイト)の微細結晶の方向をそろえて酢酸セルロース膜中に分散させたもの(ポラロイド,ダイクロームBなど)や,ポリビニルアルコール膜にヨウ素を吸着させてガラス板にはりあわせたもの(ポラロイドH,ダイクロームAなど)がある。

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化学辞典 第2版 「偏光子」の解説

偏光子
ヘンコウシ
polarizer

偏っていない光から偏光を取り出す純光学的な装置.取り出される偏光が直線であるか,円であるか,だ円であるかにより,それぞれ直線偏光子,円偏光子,だ円偏光子という.偏光子のはたらきは,入射光を直交する二つの偏光成分に分け,その一方を通過させ,他方を吸収または分散させることにある.そのため,二色性,複屈折,反射などの現象が利用される.二色性偏光子は,一つの偏光成分を通過させ,ほかの成分を吸収する.複屈折偏光子は,一方の成分を偏光子中で反射させて除き,他方の成分だけを通過させる.反射型偏光子には,一つの反射面からの(偏光角)反射光を利用するものと,板層にした多数の表面による反射光線あるいは透過光線を利用するものとがある.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「偏光子」の意味・わかりやすい解説

偏光子
へんこうし
polarizer

偏光していない自然光から,ある方向に偏光面をもつ直線偏光を取出す光学素子。ニコルのプリズム偏光板ブルースターの角を利用した反射鏡などが偏光子として用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の偏光子の言及

【偏光器】より

…自然光の中から特定の振動方向をもつ直線偏光を取り出す光学素子を偏光子polarizer,または偏光板という。そして,同一素子であるが,それを回転することにより入射した直線偏光の振動方向を知る目的に使う場合にこれを検光子analyzerという。…

【偏光器】より

…自然光の中から特定の振動方向をもつ直線偏光を取り出す光学素子を偏光子polarizer,または偏光板という。そして,同一素子であるが,それを回転することにより入射した直線偏光の振動方向を知る目的に使う場合にこれを検光子analyzerという。…

※「偏光子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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