改訂新版 世界大百科事典 「ハオコゼ」の意味・わかりやすい解説
ハオコゼ
Hypodytes rubripinnis
カサゴ目ハオコゼ科の海産魚。葉のような形と色をした小型のオコゼなのでこの名がある。ハオコシともいう。ハチオコゼ類とよく混同されるが,ハオコゼは浅海に生息し,また腹びれが1棘(きよく)4軟条であることで区別される。本州中部以南の各地や朝鮮半島に分布し,内湾のアマモなどが繁茂したところに生息する。全長10cmほどにしかならない。体は長楕円形でやや側扁し,頭部背面にとげはないが顔にはとげがある。小鱗が体の後半部の皮膚に埋まっている。眼の中央上から始まる背びれには14棘条があり,これには毒腺があって刺されると激痛にみまわれるので,英名はtiny stinger(小型の刺毒魚)という。産卵期は7~8月ころで,直径0.8~0.9mmほどの浮遊性の卵を産む。小さくて食べられる部分がほとんどないので食用にはならないが,色彩と形がはでなので水族館などの観賞魚にされる。
執筆者:谷内 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報