ハクラン

改訂新版 世界大百科事典 「ハクラン」の意味・わかりやすい解説

ハクラン (白藍)
Brassica napus”(synthetic)

アブラナ科の一・二年草。ハクサイキャベツとの種間交雑により日本で作り出された新しい野菜で,ハクサイ(白菜)の〈ハク〉とキャベツ(甘藍)の〈ラン〉をとって命名された。ハクサイは体細胞(二倍体)の染色体数20本,キャベツは18本で,その染色体セットはAおよびCゲノムと名づけられている。この両種の染色体数を倍加した四倍体間の交配から,38本の体細胞染色体(ゲノム構成はAACC)を有する複々倍体植物を育成することによって作出されたものである。このゲノム構成はセイヨウアブラナBrassica napusと同じである。ハクサイやキャベツは同じアブラナ属ではあるが,染色体数やゲノム構成が異なっているため,両者を交配してできる雑種の胚は,発達の過程で死滅することが多く,雑種はきわめて得にくい。そこでこの雑種胚を取り出し,胚培養を行い,新植物のハクランが作り出された。ハクランはハクサイとキャベツの中間的な性質をもち,またセイヨウアブラナに結球性をもたせたような特性があり,草勢は強く,栽培しやすい。水分が多く,甘みに富む野菜で,サラダなどの生食やいため物,煮物などいずれにも適し,利用範囲の多い野菜である。
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栄養・生化学辞典 「ハクラン」の解説

ハクラン

 ハクサイとキャベツを細胞融合させて作り出した新しいタイプの野菜.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のハクランの言及

【アブラナ(油菜)】より

…【堀田 満】。。…

【ナタネ(菜種)】より

【八木 哲浩】。。…

※「ハクラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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