日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイカウント」の意味・わかりやすい解説
バイカウント
ばいかうんと
Viscount
イギリスのビッカース社(現ブリティッシュ航空機会社)製の四発、短・中距離用中型旅客機。世界で最初にターボプロップエンジンを実用化した旅客機である。1948年7月18日、原型機603が初飛行し、50年8月から量産が開始された。往復運動のピストンエンジンに比べて振動がなく快適な乗り心地、高速度、大きな窓からの優れた視界などで世界の主要航空会社に採用された。その後、エンジンの改良と航空会社からの要求で700系や800系と逐次大型化されて、総生産機数は644機に達したが、ターボファンエンジン機の進出により64年生産を停止した。日本では61年(昭和36)から69年まで、全日本空輸が828型八機を使用した。優れた性能と信頼性・快適性で第二次世界大戦直後の短・中距離航空の近代化を促進した功績は大きく、旅客機の歴史を通しての名機の一つにあげられている。
[落合一夫]