ターボプロップエンジン(読み)たーぼぷろっぷえんじん(その他表記)turboprop engine

デジタル大辞泉 「ターボプロップエンジン」の意味・読み・例文・類語

ターボプロップ‐エンジン(turboprop engine)

ジェットエンジンの一。ガスタービンの軸出力プロペラを駆動して推進力を得るとともに、排気ガス噴出による反動力も推進力とする。比較的低速の中型航空機に適する。プロップジェット

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精選版 日本国語大辞典 「ターボプロップエンジン」の意味・読み・例文・類語

ターボプロップ‐エンジン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] turboprop engine ) ジェットエンジン一種。ガスタービンの軸出力でプロペラを駆動して推進力を得るとともに、排気ガスの噴出による反動力も推進力とする。比較的低速の中型航空機に適する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ターボプロップエンジン」の意味・わかりやすい解説

ターボプロップエンジン
たーぼぷろっぷえんじん
turboprop engine

航空機用タービンエンジンの一種。ガスエネルギーの約90%を軸出力として取り出し、エンジン回転数をプロペラ効率の維持に適当な回転数にまで減速してプロペラを駆動し、プロペラによって推進力を得るとともに、残りのエネルギーを排気ジェットとして利用するエンジン。ピストンエンジン機からジェットエンジン機への移行の段階で、両方の特長をあわせてもたせ、移行を円滑に行わせることを目標として開発され、亜音速音速の50~70%程度の速度)で飛ぶ飛行機に使用された。しかしエンジン出力に対する減速装置の大きさ、重さ、取付け位置などに限界があって大出力を得がたいこと、機体の空気抵抗をある程度以上小さくできないこと、プロペラの回転速度との関連で最大速度に限界があること、などの問題点があり、そこへ経済性の高いターボファンエンジンが実用化されたため大型機ではほとんど使われていない。現在は主として数十人乗り程度までの小型輸送機や双発軽飛行機に使用されている。

[落合一夫]


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百科事典マイペディア 「ターボプロップエンジン」の意味・わかりやすい解説

ターボプロップエンジン

ジェットエンジンの一種。吸入した大気の圧縮用の圧縮機とその駆動用タービンをもつことはターボジェットエンジンと同じだが,さらにプロペラ駆動用のタービンをもち,燃焼ガスのエネルギーの大部分をタービンが吸収してプロペラ(一部は圧縮機)を回転させるほか,噴出ガスにより補助的な推力を得る。高速,高空ではターボジェットのほうが効率がよく,低速,低空ではターボプロップによるプロペラ推進のほうが効率がよいとされ,その境界速度はマッハ(マッハ数)0.6〜0.7程度。→プロップファン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ターボプロップエンジン」の意味・わかりやすい解説

ターボプロップ・エンジン
turboprop engine

ガスタービン・エンジンの一種。ターボジェット・エンジンと同じ構造に1段から数段のタービンを増設して,燃焼ガスのエネルギーを吸収し,減速歯車を介してプロペラ軸に取り出すもの。ピストンエンジンに比べて出力/重量比が大きく,出力/正面面積比が小さく,燃料消費率はほぼ同程度という長所がある。そのため現在では,500馬力以上のプロペラ機はすべてターボプロップ・エンジンを用いるようになった。さらに安価な 260馬力程度のターボプロップ・エンジンも実現し,これまでピストンエンジンを使用してきた軽飛行機もターボプロップ・エンジンを使うようになっている。 (→ガスタービン )

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世界大百科事典(旧版)内のターボプロップエンジンの言及

【航空エンジン】より

…燃料の燃焼熱を利用する内燃式熱機関である。航空エンジンには,ピストンエンジンやターボプロップエンジンのように動力を軸動力の形でとり出す軸出力型エンジンと,ターボジェットエンジンやターボファンエンジンのように前方から吸い込んだ空気を後方へ高速の噴流として噴出し,その際の運動エネルギーの増加の形で動力をとり出すジェット出力型エンジン(いわゆるジェットエンジン)がある。後者は前方より吸い込んだ空気を航空機の速度より速い速度で後方に噴出し,その際の加速力の反力としてエンジン自身で直接推力を発生するが,前者では軸動力でプロペラを回し,プロペラを通る空気流を後方に加速して推力を得ている。…

【ジェットエンジン】より

…定常流動定圧燃焼ガスタービンの一種であるターボファンエンジン,ターボジェットエンジン,ラムジェットエンジンと,間欠流動定容燃焼ガスタービンの一種であるパルスジェットエンジンに分けられる。広義にはガスタービン系航空エンジンを総称してジェットエンジンということもあり,この場合にはガスタービンで発生した動力を軸動力として取り出し,それによってプロペラを駆動して推力を発生するターボプロップエンジン,ヘリコプターの揚力や推力を発生するローター(回転翼)などを駆動するターボシャフトエンジンを含める。これらはすべて定常流動定圧燃焼ガスタービンに属する。…

【飛行機】より

…このほかラムジェット,ロケットなども航空機用推進装置として使われることがある。 飛行機はその推進装置によって,ピストンエンジンやターボプロップエンジンでプロペラを駆動するプロペラ機,ストレートジェットやターボファンなどのいわゆるジェットエンジンを利用して推力を得るジェット機に大別される。またターボプロップ,ターボジェット,ターボファンなどのガスタービン推進装置をもつ飛行機を総称してタービン機ということもある。…

※「ターボプロップエンジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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