バスキア

百科事典マイペディア 「バスキア」の意味・わかりやすい解説

バスキア

米国の画家。ハイチ人とプエルト・リコ人を両親として,ニューヨークに生まれる。17歳のころから友人のアル・ディアスと共に地下鉄や街路でスプレー・ペインティングを始め,1982年の個展で大成功を収めて一躍時代の寵児となった。無名時代からのキースヘリングとの交流,そして1983年以降のウォーホルとの交流など,バスキアの生涯は1980年代の米国の美術状況を色濃く反映している。言葉とイメージからなるグラフィティ落書き)には過激さと繊細な感受性とが混在し,自らの出自をめぐるアイデンティティの微妙な揺らぎとラップに通ずる痛烈な社会批判のメッセージが見て取れる。社会的な成功と薬物中毒という二重性を背負ったまま27歳で没。その生涯を描いた映画《バスキア》(シュナーベル監督,1996年)がある。

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