パターソン(読み)ぱたーそん(英語表記)Andrew Barton Paterson

デジタル大辞泉 「パターソン」の意味・読み・例文・類語

パターソン(Paterson)

米国ニュージャージー州北東部の都市。パセイック川沿いに位置する。18世紀末に滝の水力を利用して紡績業が始まり、同国有数の絹織物の産地となった。19世紀から20世紀にかけ、蒸気機関車や航空機用のエンジンの製造がおこなわれた。紡績機などの機器や工具を所蔵する、工場跡を利用したパターソン博物館がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パターソン」の意味・わかりやすい解説

パターソン
Patterson, John Henry

[生]1844.12.13. オハイオ,デートン近郊
[没]1922.5.7. ペンシルバニア,フィラデルフィア近郊
アメリカ合衆国の製造業者。オハイオ州南西部デートンマイアミエリー運河の通行料徴収係として職業人生を歩み始め,のちに弟と石炭販売事業に乗り出した。利益があがらないのは販売員が売り上げをくすねているためだと考え,ジェームズ・リッティが 1879年に発明した金銭登録機(キャッシュ・レジスタ)を 3台購入。店が黒字化するとリッティの会社を買収し,ナショナル・キャッシュ・レジスタに改称した(→NCR)。発明されて間もなく,まだ市場に普及していなかったレジスタの使い勝手を改良するとともに,販売員ひとりひとりに担当地区を設定し,史上初めて営業訓練のための学校を設立,さらにダイレクトメールを使って宣伝活動を行なうなど斬新なマーケティング手法を考案,積極的に展開して販売促進につなげた(→マーケティング)。また製品の品質向上のため,福利厚生制度を確立するなど労働環境の改善に努めたが,従業員にはその見返りとして絶対的献身と高い生産性を求めた。1913年のデートン大洪水では救援活動の先頭に立ち,水害対策のため 200万ドルの資金を集めて全米にその名を知られた。

パターソン
Patterson, Floyd

[生]1935.1.4. ノースカロライナ,ウェーコ
[没]2006.5.11. ニューヨーク,ニューパルツ
アメリカ合衆国のプロボクサー。ブルックリンで育ち,ボクシングを学んだ。のちにマイク・タイソンを育てたコンスタンティン・(カス)・ダマトのもとでトレーニングし,1951,1952年のニューヨーク・ゴールデングローブ・タイトルを獲得。1952年ヘルシンキ・オリンピック競技大会でミドル級金メダルを獲得した。体重約 84kgとヘビー級にしては軽く,リーチも短かった。1956年ヘビー級タイトルを獲得,当時史上最年少の世界王者となった。4度の防衛を経て,1959年インゲマル・ヨハンソンにノックアウト KO負けしたが,翌1960年ヨハンソンに KO勝ちして王者に復活。史上初の世界ヘビー級タイトル 2度獲得という快挙を成し遂げた。1972年に引退。通算成績は 64戦 55勝,40KO。1991年ボクシングの殿堂入り。

パターソン
Paterson, William

[生]1658.4. ダンフリース,テンウォード
[没]1719.1.22.
イギリスの実業家,イングランド銀行の創立者。スコットランド生れで,ロンドンに出て貿易により富をつくり,マーチャント・テーラーズ・カンパニーの一員としてロンドンの有力者となった。 1691年イングランド銀行設立を提案し,94年その実現をみて取締役になったが,銀行の性格について同僚と意見を異にしたため翌年辞任。次いでパナマのダリエン計画を提案し,実現にこぎつけたが,同僚らに疑われて職を追われ,98年個人の資格で同地におもむいた。しかし,妻と子を同地で失ったうえ,事業にも失敗して,翌年帰国。以後国債制度の確立,イングランドとスコットランドとの合同などに尽力した。

パターソン
Paterson, William

[生]1745.12.24. アイルランド,アントリム
[没]1806.9.9. ニューヨーク,オールバニ
アメリカの法律家,政治家。 1769年以降法律業を営む。 76~83年ニュージャージー邦司法長官。 87年合衆国憲法制定会議のニュージャージー代表となり,小邦の見解を代表するいわゆる「ニュージャージー案」を提案。その後 89~90年連邦上院議員,90~93年ニュージャージー州知事,93~1806年連邦最高裁判所陪席判事。

パターソン
Paterson

アメリカ合衆国,ニュージャージー州北東部の都市。ニューヨークの北西約 27km,パセーイク川沿岸に位置する。パセーイク川にかかる 21mの滝の水力を利用して勃興した綿工業,続いて発展した機関車製造や機械工業を基礎に,1840年代以降は綿工業および染色工業が発展し,国内最大の綿工業都市となった。第2次世界大戦後は繊維,機械,化学など各種の工業が発達した。周辺地域の卸・小売業の中心地でもある。インディアンの遺物収集で知られるパターソン博物館があり,1976年に滝はアメリカの歴史的景観の一つに選定された。人口 14万6199(2010)。

パターソン
Paterson, Andrew Barton

[生]1864.2.17. ニューサウスウェールズ,ナランブラ
[没]1941.2.5. シドニー
オーストラリアの詩人。小説も書いたが民謡でよく知られ,「バンジョー・パターソン」の異名をとる。なかでも『ウォーチング・マティルダ』 Waltzing Matilda (1917) は国歌代りによく歌われる。詩集『スノウィー川から来た男』 The Man from Snowy River (1895) など。

パターソン
Patterson, Joseph Medill

[生]1879.1.6. シカゴ
[没]1946.5.26. ニューヨーク
アメリカのジャーナリスト,出版業者。 1901~05年および 1914~25年『シカゴ・トリビューン』紙の編集に携わり,第1次世界大戦中は特派員として活躍した。 1919年に『ニューヨーク・デーリー・ニューズ』 New York Daily News紙を創刊。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パターソン」の意味・わかりやすい解説

パターソン(Andrew Barton Paterson)
ぱたーそん
Andrew Barton Paterson
(1864―1941)

オーストラリアの詩人、ジャーナリスト。ニュー・サウス・ウェールズ州ナランブラ生まれ。国民的愛唱歌『ウォルチング・マチルダ』の作者。バンジョーの筆名で、『ブリティン』誌に奥地開拓民(ブッシュマン)の生活を明るく歌い、ヘンリー・ローソンの陰うつな写実小説と好対照をなし、今日もなお広く愛読されている。幼時の体験に基づく出世作『スノウィー河から来た男』(1895)をはじめ、『昔の奥地民謡(オールド・ブッシュ・ソング)』(1905)、『詩集』(1921)、半自伝的な旅と冒険の回顧録『よき報告書』(1934)、長編『羊毛刈職人の子馬』(1936)などの作品がある。一方、従軍記者として、1899年からのブーア戦争、また中国の「義和団事件」後の取材(1901)では、ジャーナリスト、編集者としても活躍した。

[平松幹夫・古宇田敦子]


パターソン(アメリカ合衆国)
ぱたーそん
Paterson

アメリカ合衆国、ニュー・ジャージー州北東部、パセイック川に臨む都市。人口14万9222(2000)。アメリカの工業振興が叫ばれていた1791年にパセイック川の水力が注目され、工業町としてA・ハミルトンによって建設され、1851年市制が敷かれた。1792年の綿紡績に始まり、1835年コルト銃の製造、絹織物工業と多くの工業が発達した。なかでも絹織物工業は全国一の規模を誇り、1870年ころには全国の絹織物の50%を生産した。のち絹織物工業は衰退したが、現在も繊維・織物工業を中心に、輸送機器、電気機器など多種の工業が行われている。当時の町並みや工業機械設備、工具などを展示した工場が、1970年国立史跡に指定されている。

[作野和世]

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改訂新版 世界大百科事典 「パターソン」の意味・わかりやすい解説

パターソン
Paterson

アメリカ合衆国ニュージャージー州北東部の工業都市。人口14万9843(2005)。パセーイク川の滝の近くに位置し,1791年A.ハミルトンにより,滝の水力を動力に利用する計画的綿織物業都市としてつくられた。18世紀後半に紡績業,19世紀中ごろに絹織物業が発達した。織物用の機械を製造していた鉄工業は19世紀後半には蒸気機関車,20世紀前半には航空機用エンジンを製造するようになり,工業活動は多様化した。現在,絹織物はなくなったが,綿織物,運輸用機器,電気部品,ゴム製品,プラスチック,衣類,紙製品の生産が多い。1851年市制施行。
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百科事典マイペディア 「パターソン」の意味・わかりやすい解説

パターソン

米国,ニュージャージー州北東部の工業都市。ニューヨークの衛星都市。1840年以降絹織物工業の中心として発達。現在は合成繊維の進出で,絹織物工業は衰え,リボン,レース,リネン糸など繊維加工品の生産のほか,プラスチック・ゴム・機械工業が発達。1791年創設。14万6199人(2010)。

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デジタル大辞泉プラス 「パターソン」の解説

パターソン

体操、女子平均台競技の技。後ろ跳びひねり前方かかえ込み2回宙返り下り。名称はアメリカの体操選手、カーリー・パターソンから。

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367日誕生日大事典 「パターソン」の解説

パターソン

生年月日:1745年12月24日
アメリカの法律家,政治家
1806年没

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世界大百科事典(旧版)内のパターソンの言及

【絹織物】より

…しかも製品の輸出率が全生産高の4分の3ときわめて高く,イギリス,アメリカ合衆国などが主要な輸出市場であった。 アメリカ合衆国における絹工業の本格的な発達は,1860年代前半に設定された外国産絹織物に対する従価40~60%という高率の保護関税のもとで,ニュージャージー州のパターソンを中心にして開始された。撚糸,織布,染色,仕上げの諸工程を同時に開設し,ヨーロッパ各地から最新の設備の導入や各部門の職工長の招請を行って,絹製品の自給体制の確立に努めた。…

※「パターソン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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