ヒギンズ・クラーク(英語表記)Higgins Clark, Mary

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒギンズ・クラーク」の意味・わかりやすい解説

ヒギンズ・クラーク
Higgins Clark, Mary

[生]1927.12.24. ニューヨークブロンクス
[没]2020.1.31. フロリダ,ネープルズ
メアリー・ヒギンズ・クラーク。旧名 Mary Theresa Eleanor Higgins。アメリカ合衆国の作家。40年以上にわたりミステリーサスペンス小説を手がけ,常にベストセラー作家であり続けた。6歳で詩を書き始め,生涯を通じて日記をつけ,それが物語のアイデアの源泉になった。また父の死後一家 4人を支えることになった母親の姿は,革新的で粘り強い女性像を描くうえで大きな影響を与えた。事務職につくため秘書学校に通い,広告代理店で 3年間働いたのち,1949年にパンアメリカン航空の客室乗務員になった。「鉄のカーテン」にさえぎられる直前のチェコスロバキア行きの最終便に乗務し,そのときの経験が最初に出版された短編小説『密航者』Stowaway(1959)にいかされた。同年結婚を機に仕事をやめ,子育てをしながら短編を執筆。1964年に夫と死別したあとは 5人の子供を養うためラジオドラマを書き,小説の執筆を勧められたが,最初の長編小説 "Aspire to the Heavens: A Biography of George Washington"(1968)は失敗に終わった(同作品は 2002年 "Mount Vernon Love Story"として再出版)。しかし,最初のサスペンス小説『子供たちはどこにいる』Where Are the Children?(1975)が成功を収めると,大手出版社サイモン&シュスターと数百万ドル規模の契約を次々と交わし,「サスペンスの女王」の異名をとるようになった。その後『誰かが見ている』A Stranger Is Watching(1977),『愛しいひとの眠る間に』While My Pretty One Sleeps(1989),『殺したのは私』We'll Meet Again(1999),"Daddy's Gone a Hunting"(2013),"I've Got My Eyes on You"(2018)など次々に世に送り,いくつかの作品は映画化された。2002年に回想録 "Kitchen Privileges"を著し,娘のキャロル・ヒギンズ・クラークとはクリスマスをテーマにしたミステリーシリーズを共著で発表している。1980年フランス推理小説大賞を受賞,1997年ホレーショ・アルジャー協会「著名なアメリカ人」のメンバーに選定,2000年エドガー・アラン・ポー賞巨匠賞を受賞。2010年にはアガサ賞の生涯功労賞を受賞。

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