鉄のカーテン(読み)てつのかーてん(英語表記)iron curtain

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄のカーテン」の意味・わかりやすい解説

鉄のカーテン
てつのかーてん
iron curtain

1946年3月5日、ウィンストン・チャーチルがアメリカ訪問中、ミズーリ州フルトンで行った演説で、ソ連秘密主義を非難するため用いたことば。この演説でチャーチルは「シュチェチンからトリエステまで“鉄のカーテン”が下ろされている」と述べ、ソ連が支配する地域では、ソ連が無限に権力を拡大しており、この動きを制するためには圧倒的な武力が必要であると述べて、第二次世界大戦後の「冷戦」を告げる有名なことばとなった。チャーチルはこの演説以前にも書簡なかでこのことばを用いている。なお、このことばは、ナチス・ドイツ宣伝相ゲッベルスがドイツ敗戦直前に書いた論文のなかで用いたのが最初だといわれている。

[藤村瞬一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉄のカーテン」の意味・わかりやすい解説

鉄のカーテン
てつのカーテン
iron curtain

西ヨーロッパその他の非共産圏諸国に対するソ連とソ連圏諸国の閉鎖的態度をさした表現。 1946年3月5日,イギリスの W.チャーチル首相はアメリカのミズーリ州フルトンのウェストミンスター・カレッジで演説し,「バルト海のステッティンからアドリア海のトリエステにいたるまで鉄のカーテンが大陸を横切って降ろされている。その線の背後には中央ヨーロッパおよび東ヨーロッパの古い国々のすべての首都がある。こうしたすべての有名な都市とその周辺の住民はソ連の勢力範囲内にある」と述べた。この表現は,第2次世界大戦が終ったあとの当時の連合国の分裂した不信の雰囲気を的確に表わしていたために,急速に流行した。

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