日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒナギク」の意味・わかりやすい解説
ヒナギク
ひなぎく / 雛菊
[学] Bellis perennis L.
キク科(APG分類:キク科)の多年草。ヨーロッパ原産で、日本では春に花壇や鉢植えで観賞される。一般には英名であるデージーdaisyの名で親しまれている。
[湯浅浩史 2022年3月23日]
文化史
ローマ神話ではニンフのベリデスの化身とされ、属名のベリスもそれにちなむという。1世紀、ローマのプリニウスは『博物誌』で、牧草地に育ち、るいれきの塗り薬にすると述べている。古くはヨーロッパでも葉を打ち傷や骨折の湿布に使い、花は枕(まくら)の下に入れて夢占いに、花びらを1枚ずつちぎって「愛する」「愛さない」と恋占いに用いた。チョーサーは、牧場の花のなかでいちばん好きなのは白と赤のヒナギク(デージー)と歌った(『美女物語』)。17世紀以降は園芸植物としての活用が進み、イギリスのパーキンソンは『地上の楽園』(1629)で、八重咲きや濃赤色、白と赤の絞り、赤と白の混色、表が赤で裏が白などの花色の変化をあげている。
[湯浅浩史 2022年3月23日]