湿布(読み)シップ(英語表記)wet pack

翻訳|wet pack

デジタル大辞泉 「湿布」の意味・読み・例文・類語

しっ‐ぷ【湿布】

[名](スル)水・湯・薬液などに浸した布を当て、患部を温めたり冷やしたりする治療法。また、その当てる物。
[類語]外用薬付け薬塗り薬差し薬目薬点薬座薬

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精選版 日本国語大辞典 「湿布」の意味・読み・例文・類語

しっ‐ぷ【湿布】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 治癒の促進、症状悪化の防止、苦痛の緩和などの目的で、患部に湿った布をあてる治療法。また、その布。タオルやガーゼを湯や冷水、薬液などに浸して用いる。湿罨法(しつあんぽう)
    1. [初出の実例]「胸部に湿布がしてあるのを、乾けば取り換へる」(出典:金毘羅(1909)〈森鴎外〉)
  3. 炎症を鎮めるための薬品。布やガーゼなどに塗るなどして患部に直接当てる。また、その薬品を油性成分と混ぜて布類にあらかじめ塗り、粘着性をもたせたもの。湿布薬。パップ剤。湿布剤。

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改訂新版 世界大百科事典 「湿布」の意味・わかりやすい解説

湿布 (しっぷ)
wet pack

局所に湿った布を当て,その冷却または温熱刺激によって治療を行う物理療法の一種。主として鎮痛,消炎,鎮静,滲出抑制,腫張抑制などの目的で用いられる。罨法(あんぽう)ともいう。湿布には温湿布と冷湿布がある。一般に,炎症の盛んな初期には冷湿布,治療の促進を図るためには温湿布が用いられる。

局所に湿性の温熱を与える治療法で,家庭で用いられる方法としては,タオルか毛布など水分を吸収する小材料に温水を吸収させ患部に当てる。最も一般的な医療用具としてはホットパックhot packと呼ばれるものがある。熱容量の大きいケイ酸塩,ベントナイト,粘泥炭などのゲルを木綿の袋に入れ,ハイドロコレーターと呼ばれる電気的恒温槽で80℃に加熱し,タオル,ビニルなどでおおって局所に当てる。皮膚に接触する部分の温度は約40℃である。特徴は徐放性の温熱効果で,急激に大容量の熱を人体に与えず徐々に熱を与えることである。治療時間は20~30分間である。ホットパックを温罨法として温湿布と区別することもある。鎮痛,鎮静作用,血行改善,老廃物除去,代謝促進,組織軟化などの作用があり,対象となる疾患はリウマチ,関節炎,関節症外傷による腫張,その他の疼痛性疾患である。

10~15℃の冷水に浸した布を局所に貼布し,その上をビニルなどでおおい,タオルなどを当てて局所に湿性の冷熱を与える。冷却により局所の血管収縮が起こり,組織液の滲出抑制,鎮静,炎症反応の抑制などの効果がある。適応打撲捻挫骨折などの外傷,急性炎症などである。全身的に行う場合もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湿布」の意味・わかりやすい解説

湿布
しっぷ

布に薬液か水を浸して患部に当て、症状の軽減を図る罨法(あんぽう)の一治療法で、とくに炎症に対して用いられる。温湿布と冷湿布とがあり、いずれも布は吸湿性のある柔らかいタオル、ガーゼ、フランネルなどを用いる。温湿布は一般的には血行をよくし、食菌作用を高め、臓器の機能を活発にするので多くの場合有効とされる。とくに腹部脹満(ちょうまん)時、排ガス困難時には効果がある。しかし著しい急性炎症では局所のうっ血と破壊を速めて痛みを増すので避けなければならない。たとえば、急性虫垂炎のような腹腔(ふくくう)内の炎症の際に温湿布を用いると、炎症の進行を速めて穿孔(せんこう)をおこす危険もある。このような場合には、かならず冷湿布を用いなくてはならない。打ち身、腫脹(しゅちょう)、捻挫(ねんざ)、皮下出血には冷湿布が有効であるが、温・冷の適用の判断はむずかしいので医師の指導を仰ぐことが望ましい。創傷や目の湿布は、化膿(かのう)防止や感染防止のために消毒材料を用いて無菌的に行う。湿布時は、局所の皮膚が熱傷、凍傷などにかからないように注意する。

[山根信子]

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百科事典マイペディア 「湿布」の意味・わかりやすい解説

湿布【しっぷ】

湿罨法(あんぽう)とも。冷湿布と温湿布がある。冷水または高温湯およびこれらに薬剤を混和したものに浸した布を病巣患部にはり,適宜交換するもの。必要に応じて保温および乾燥防止のためその上を油紙,ゴム,タオルなどでおおう。冷湿布は局所の血行を押え,出血・化膿の抑制,奪温,鎮痛などの作用があり,急性炎症,打撲傷などに用いられる。温湿布は局所の血行を盛んにし,消炎,鎮痛などの作用があり,化膿促進による腫脹(しゅちょう)の治療や各種炎症,筋肉痛などに用いられる。→罨法

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湿布」の意味・わかりやすい解説

湿布
しっぷ

罨法」のページをご覧ください。

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