湿布(読み)しっぷ

日本大百科全書(ニッポニカ)「湿布」の解説

湿布
しっぷ

布に薬液か水を浸して患部に当て、症状の軽減を図る罨法(あんぽう)の一治療法で、とくに炎症に対して用いられる。温湿布冷湿布とがあり、いずれも布は吸湿性のある柔らかいタオルガーゼ、フランネルなどを用いる。温湿布は一般的には血行をよくし、食菌作用を高め、臓器の機能を活発にするので多くの場合有効とされる。とくに腹部脹満(ちょうまん)時、排ガス困難時には効果がある。しかし著しい急性炎症では局所のうっ血と破壊を速めて痛みを増すので避けなければならない。たとえば、急性虫垂炎のような腹腔(ふくくう)内の炎症の際に温湿布を用いると、炎症の進行を速めて穿孔(せんこう)をおこす危険もある。このような場合には、かならず冷湿布を用いなくてはならない。打ち身、腫脹(しゅちょう)、捻挫(ねんざ)、皮下出血には冷湿布が有効であるが、温・冷の適用の判断はむずかしいので医師の指導を仰ぐことが望ましい。創傷や目の湿布は、化膿(かのう)防止や感染防止のために消毒材料を用いて無菌的に行う。湿布時は、局所の皮膚が熱傷、凍傷などにかからないように注意する。

[山根信子]

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百科事典マイペディア「湿布」の解説

湿布【しっぷ】

湿罨法(あんぽう)とも。冷湿布と温湿布がある。冷水または高温湯およびこれらに薬剤を混和したものに浸した布を病巣患部にはり,適宜交換するもの。必要に応じて保温および乾燥防止のためその上を油紙,ゴム,タオルなどでおおう。冷湿布は局所の血行を押え,出血・化膿の抑制,奪温,鎮痛などの作用があり,急性炎症,打撲傷などに用いられる。温湿布は局所の血行を盛んにし,消炎,鎮痛などの作用があり,化膿促進による腫脹(しゅちょう)の治療や各種炎症,筋肉痛などに用いられる。→罨法

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精選版 日本国語大辞典「湿布」の解説

しっ‐ぷ【湿布】

〘名〙
治癒の促進、症状悪化の防止、苦痛の緩和などの目的で、患部に湿った布をあてる治療法。また、その布。タオルやガーゼを湯や冷水、薬液などに浸して用いる。湿罨法(しつあんぽう)
金毘羅(1909)〈森鴎外〉「胸部に湿布がしてあるのを、乾けば取り換へる」
② 炎症を鎮めるための薬品。布やガーゼなどに塗るなどして患部に直接当てる。また、その薬品を油性成分と混ぜて布類にあらかじめ塗り、粘着性をもたせたもの。湿布薬。パップ剤。湿布剤。

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世界大百科事典 第2版「湿布」の解説

しっぷ【湿布 wet pack】

局所に湿った布を当て,その冷却または温熱刺激によって治療を行う物理療法一種。主として鎮痛,消炎,鎮静,滲出抑制,腫張抑制などの目的で用いられる。罨法(あんぽう)ともいう。湿布には温湿布と冷湿布がある。一般に,炎症の盛んな初期には冷湿布,治療の促進を図るためには温湿布が用いられる。
[温湿布]
 局所に湿性の温熱を与える治療法で,家庭で用いられる方法としては,タオルか毛布など水分を吸収する小材料に温水を吸収させ患部に当てる。

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