ビジャープル(その他表記)Bijāpur

改訂新版 世界大百科事典 「ビジャープル」の意味・わかりやすい解説

ビジャープル
Bijāpur

インド南部,カルナータカ州北部の都市。人口24万5946(2001)。地名は旧名ビジャヤプルVijayapur(〈勝利の町〉の意)に由来する。標高約600mのデカン高原上の黒色綿花土地帯にあり,綿花,モロコシ集散のほか,紡績染料セッケンなどの軽工業が立地する。1489年にユースフ・アーディル・ハーンにより樹立され,ムスリム五王国の一つとして栄えたビジャープル王国(アーディル・シャーヒー朝)の首都として栄えた。同王国は1686年にムガル皇帝アウラングゼーブによって滅ぼされたが,町はほぼ当時のまま残っている。現在も周囲は延長約10kmに及ぶ市壁によって囲まれ,第5代王アリー・アーディル・シャーが建造したガガン・マハル宮殿,第7代王ムハンマド・アーディル・シャーの墓廟ゴール・グンバズGol Gumbaz,ジャーミー・マスジド(〈金曜日のモスク〉の意)などが残る。ゴール・グンバズは約180m四方の基壇の上にそびえ,建物の本体は1辺約60m,高さ約35mの直方体をなし,さらにその上に外径約43m,高さ約30mのドーム状の屋根をのせている。このドームは,建造物と合体して四隅に立つ八角7層の尖塔によって支えられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビジャープル」の意味・わかりやすい解説

ビジャープル
Bijāpur

インド南西部,カルナータカ州北部の古都。ビジャープル県の行政庁所在地。ベルゴーム北東約 160kmの丘陵地に位置。 13世紀末までヤーダバ朝の首都で,その後もバフマニー朝のもとで発展。 1489年アーディル・シャーヒ朝が成立して最盛期を迎え,デカン地方の中心都市,インド洋貿易の一拠点となった。宮殿やモスクはデカンにおけるイスラム建築の傑作を含み,特に第6代の王ムハンマドの廟ゴール・グンバズは最高水準を示す。王の保護のもとにイスラムの学問,芸術も興隆し,インド洋貿易に広く用いられた貨幣の鋳造が行われた。 1686年ムガル帝国に併合されてからは,ハイデラバード王国マラータ王国と支配者が代って,急速に衰退。イギリス統治時代からボンベイ州に属したが,1956年の州再編成で,カンナダ語使用地域としてマイソール (現カルナータカ) 州に帰属した。綿花,タバコ,搾油用種子,コムギ雑穀などを集散,加工する。人口 18万 6846 (1991) 。

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