マイソール(その他表記)Mysore

デジタル大辞泉 「マイソール」の意味・読み・例文・類語

マイソール(Mysore)

インド南部、カルナータカ州都市デカン高原南部に位置する。イスラム教徒マイソール王国が北約10キロメートルにあるシュリーランガパトナを都として栄えたが、18世紀末反英戦争に敗れ、英国支配下に入り、インド独立まで藩王国の都が置かれた。毎年9月末から10月初めにかけて催されるダシャラー祭が有名。マイスール

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改訂新版 世界大百科事典 「マイソール」の意味・わかりやすい解説

マイソール
Mysore

インド南部,カルナータカ州南端部の都市。旧マイソール藩王国の主都。人口75万5379(2001)。標高約770mのデカン高原最南端部のカーベーリ川上流域にある。熱帯高地特有の快適な常春の気候に恵まれ,年降水量も810mmと少なく半乾燥気候に属する。かつてチャームンダー神(シバ神の妃ドゥルガーと同じ)が,ここを支配していた水牛の頭をもつ魔神マヒシャを退治したという伝承があり,地名はそれにちなむマヒシャブール(〈水牛の町〉の意)に由来する。市の南東方にあるチャームンディー山(標高約1150m)は同神に由来し,その頂上には同神にささげられたチャームンディー・シュワリー寺院が,またその中腹にはシバ神の乗物である牡牛ナンディン)の巨大な石の彫像があり,ヒンドゥー教徒の重要な巡礼地となっている。

 市の歴史は古いが,重要な役割を演じるようになったのは,16世紀にビジャヤナガル王国下に現在の城塞の前身が建設されてからである。1610年にチャーマ・ラージャ4世はマイソール王国創建,その首都は市の北北東約18kmのセーリンガパタムシュリーランガパトナム)に置かれた。1760年同王国は同家の家臣ハイダル・アーリーによって奪され,67年以降4次にわたってイギリスとマイソール戦争を戦ったが,99年のセーリンガパタムの陥落により同戦争は終結した。戦後,イギリスの保護下にマイソール王国が再興され,マイソールはその首都となった。しかし1831年の農民反乱契機にマイソール王国は一時廃されてイギリスの直轄下に編入されるとともに,行政的な首都機能はバンガロールに移された。1881年のマイソール藩王国の再興が認められて,マイソールは同藩王の王宮所在地となり,1947年のインド独立時にいたった。

 市は新・旧両市に分かれ,新市は旧市の北・西・南方にひろがる。旧市の中央には,北辺が長い台形状の城壁に囲まれた王城があり,その内部の西寄りに藩王宮殿がある。同宮殿は1897-1913年に建設されたインド・イスラム様式の壮麗な宮殿で,インド有数の規模を誇る。宮殿は現在は州立博物館となっているが,ムガル皇帝アウラングゼーブの贈与になる金と象牙で装飾された玉座は名高い。10~11月には10日間のダシャハラーの祭りがあり,その間宮殿は夜間電球のイルミネーションで美しく飾られる。10日目には宮殿を中心に飾られた象が先導をつとめる行列が繰り広げられ,インド各地から多くの観光客を集める。南インドにおける伝統工業の中心地の一つで,マイソール・シルクとして有名な絹サリー,白檀の木彫と香油,象牙細工などの産が多い。北方約16kmのクリシュナラージャ・サーガル・ダム(1932完成)からの水力電力をもとに,紡績,綿布,化学肥料などの諸工業が立地する。マイソール大学(1916創立),インド中央食品工学研究所などをはじめとする教育・研究機関も多く,落ち着いた町の感じとも相まって学都の雰囲気をもつ。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マイソール」の意味・わかりやすい解説

マイソール
Mysore

インド南西部,カルナータカ州南部の商工業都市。マイソール県の行政庁所在地。バンガロール南西約 125km,カウベリ川と,その支流カバニ川にはさまれた丘陵上,標高 770mに位置。 1610年マイソール藩王国が成立し,その首都として栄えた。 1799年第4次マイソール戦争に敗れてからは,イギリス支配のもとで行政中心地となったが,1831年行政中心地はバンガロールに移った。州南部の商工業中心地で,綿・絹織物,白檀細工,白檀油で知られ,特に手織物,象牙・金属細工,木彫が有名。ほかに精米,搾油,化学,皮なめしなどの工業がある。工業用電力は東部シバサムドラムの水力発電で供給される。周辺ではタバコ,コーヒーを栽培。インド=イスラム風のマハーラージャ王宮 (1897) をはじめ史跡が多く,広い街路と公園の多い静かな町。マイソール大学および多数の単科大学がある。 19km北西にクリシュナゴダバリダム,東方のソムナートには 13世紀のヒンドゥー寺院がある。人口 48万6 (1991) 。

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百科事典マイペディア 「マイソール」の意味・わかりやすい解説

マイソール

インド南部のカルナータカ州南端部,西ガーツ山脈中の都市。特産の香木細工のほか,絹織物,象牙(ぞうげ)細工などの手工業が盛ん。北西郊のカーベーリ川に大人造湖とダムがある。1610年マイソール王国の都。17世紀にマイソール戦争でイギリスに敗れ,その保護下にマイソール藩王国として再興された。同国の宮殿はインド・イスラム様式の代表。ヒンドゥー教の巡礼地でもあり,観光地としても著名。大学(1916年創立)がある。99万1000人(2011)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイソール」の意味・わかりやすい解説

マイソール
まいそーる
Mysore

インド南部の州カルナータカの旧称。

[編集部]

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世界大百科事典(旧版)内のマイソールの言及

【カルナータカ[州]】より

…州都はバンガロール。ドラビダ語系に属するカンナダ語を公用語とする言語州として1956年に成立し,73年マイソール州を現名に改称。現名はこの地方の古名カルナードゥ(〈黒色土のくに〉の意)に由来。…

【コーヒー】より

…インドネシアのジャワやスマトラはロブスタの産地として知られるが,スマトラのマンデリンはアラビカ種の逸品で,ブルー・マウンテンが出回るまでは最高のコーヒーと称された。インドではマラバル海岸沿いの山地から産出されるマイソールが良品である。アラビア産のコーヒーはかつてはイエメンのモカ港から積み出されたため,モカコーヒーの名がある。…

※「マイソール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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