ポーランド最大の川。全長1068km,流域面積19万3911km2(三角州を除く)。カルパチ山脈北側,チェコとの国境付近のバラニャ山に源を発し,ポーランド東部を大きく蛇行しながら,クラクフ,ワルシャワ,トルンなどの諸都市を経て,グダンスク付近で三角州を形成してバルト海に注ぐ。その間,ブーグ川やナレフ川などをはじめとする数多くの大小の支流と合流し,水量も豊富である。とくに中・下流は河川こう配が緩やかで大型船の航行が可能で,古くから水上交通路として利用されてきた。たとえば,15~16世紀におけるポーランドの繁栄は,この水運を利用した穀物や木材の輸出でもたらされたものであった。現在,可航距離は941kmで,オシフィエンチム(アウシュビッツ)まで遡航可能である。また,ビドゴシュチ運河によってオーデル川やバルタ川と,ドニエプル・ブーグ運河によってドニエプル川と結ばれる。ポーランドでは,オーデル川に次いで重要な水上交通路となっている。
執筆者:安部 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ポーランドの東部から中部および北部にかけて貫流する同国最大の大河。英名ビストゥラVistula、ドイツ名ワイクセルWeichsel、ロシア語表記はВисла/Visla。ウィスワ、ウィスラ、ビスラとも書く。カルパティア山脈、ベスキド山中北側に発し、初めは北東に流れるが、サン川が合流してからは北流し、首都ワルシャワ北部で西に方向を転じ、ブーク川、ドルベンツァ川などの支流を集め、ビドゴシチ付近から急に北流してグダニスク(ダンツィヒ)でグダニスク湾を通じてバルト海に注ぐ。全長1090キロメートル、流域面積19万8500平方キロメートル。ワルシャワ付近から下流は舟運に大きな役割を果たしている。かつては旧ソ連国境から旧東ドイツ国境に至る運河があり、これによって西のオーデル(オドラ)川と結ばれていた。
[三井嘉都夫]
…プロイセンという呼称は,最も広い意味では,1871年以来ドイツ帝国の中核を形成したプロイセン王国を指す。しかし,行政区域としては,この王国の北東部,すなわちポンメルン州とブランデンブルク州の東方,ワイクセルWeichsel川(ビスワ川)を越えてメーメルMemel川(ネマン川)に至る,バルト海沿いの地域について用いられる。後者の意味でのプロイセンは,さらに,ワイクセル川を境に東プロイセン(オストプロイセンOstpreussen)と西プロイセンとに大別されるが,歴史的には東プロイセンが最も古く,中世初期この地域に定住していたバルト語系のプルッセン人(プロイセン人)Prussenからプロイセンという地名が生まれた。…
※「ビスワ川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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