百科事典マイペディア 「ビデオアート」の意味・わかりやすい解説 ビデオ・アート ビデオを表現手段として用いる芸術。先駆的アーティスト,ナムジュン・パイクは,1960年代からテレビのモニターを取り入れたパフォーマンスや複数のモニターを積み上げたり並置するインスタレーションを行ってきた。持ち運び可能なカセットの開発に伴って1970年代から1980年代にかけて表現手段として急速に広まっていったが,純粋に作品としての映像を広範囲に流通させるには至らなかった。ビル・ビオラやゲイリー・ヒルといったパイク以降の世代のアーティストには,モニターと他の要素を組み合わせインスタレーションとして空間を構成する傾向が強い。また,ミュージシャンのプロモーション・ビデオを手掛けたロバート・ロンゴのように,創作活動の一環としてビデオ制作に取り組む作家も登場してきている。→インタラクティブ・アート/テクノロジー・アート/メディア・アート 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
知恵蔵 「ビデオアート」の解説 ビデオアート 韓国で生まれ、東京大学で学んだナムジュン・パイク(白南準、2006年死去)が1960年代、ニューヨークで自ら撮影したビデオを作品としたことから始まったとされている。テレビを何台も積み重ねたような、ビデオ・インスタレーションなどが有名。当時、「メディアはメッセージだ」という言葉で有名になった、社会学者マクルーハンのメディア理論を具体化した事例と見ることもできる。近年では、映像だけでなく、それを取り巻く環境全体を作品化したゲイリー・ヒルやビル・ビオラ、さらにはダグ・エイケンといった欧米の映像作家が国際的に活躍。さらに、インターネットなどで動画像を発信したり、短編映画やドキュメンタリー映画に近い作品も登場。90年代後半以後、映像表現は従来の絵画や彫刻同様、現代美術の表現手段として確固たる地位を占めるようになった。 (山盛英司 朝日新聞記者 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報