フランスの心理学者。ニースに生まれる。初め法律学を学んだが、心理学に転じた。1889年パリ大学に心理学実験所を創設し、1894年にその所長となった。高等精神作用の実験的研究を行って『実験心理学序説』(1894)を著し、また1895年には『心理学年鑑』L'Année Psychologiqueを創刊し、その編集にあたった。1905年、フランス公教育省の依嘱によりシモンThéodore Simon(1873―1961)とともに、精神遅滞児の検出法を作成したが、これが世界で最初の知能検査である。その後1908年に改訂して、知能年齢によって精神発達を表示する尺度とし、さらに1911年の改訂により3歳から15歳までの尺度が完成した。著書に『推理の心理』(1886)、『被暗示性』(1900)、『知能の実験的研究』(1903)、『新しい児童観』(1911)などがある。
[肥田野直]
『波多野完治訳『新しい児童観』(1961・明治図書出版社)』
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