ウースター(その他表記)Worcester

翻訳|Worcester

デジタル大辞泉 「ウースター」の意味・読み・例文・類語

ウースター(Worcester)

米国マサチューセッツ州中部の都市。ボストンの西約60キロメートルに位置し、同州第二の規模をもつ。商工業が盛ん。クラーク大学、ウースター州立大学などが所在し、美術館博物館が多く、文教都市でもある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウースター」の意味・わかりやすい解説

ウースター
Worcester

イギリスイングランド中西部,ウースターシャー県の県都。ウースター地区を構成する。バーミンガムの南西約 40km,セバーン川左岸に位置する。664年に行なわれたウィトビーの宗教会議ののち重要となり,679~80年この地方に住むウィッカ族のための主教区創設されるとともに,この町の聖ピーター聖堂に主教座が置かれ,アルフレッド大王(在位 871~899)の治世に町は城壁で囲まれた。1189年最初の勅許状が与えられ,中世には羊毛産業で繁栄。13世紀以来の手袋製造業と 18世紀半ば以来の磁器製造業が重要な産業となっているほか,機械工業が発達している。ウースターソース原産地としても知られる。市の歴史上,大聖堂が常に重要な役割を果たしてきたが,今日の大聖堂は 1084年創建で,その後たびたび増改築されている。清教徒革命時には激戦地となり,1651年スコットランド軍を率いて南下してきたのちのチャールズ2世が,ここでクロムウェル軍に敗れた(→ウースターの戦い)。面積 33km2。人口 9万4029(2001)。

ウースター(伯・侯家)
ウースター[はく・こうけ]
Worcester, Earls and Marquesses of

イギリスの貴族の家柄。中世には特定の家系に定着することなく,おもな人物としては次の2人があげられる。 1397年に伯爵に叙せられたトマス・パーシー (1344?~1403) は,ホット・スパーと呼ばれた H.パーシーの叔父で,1403年兄のノーサンバーランド伯ヘンリー・パーシーやその子のホット・スパーとともに,ヘンリー4世に対して反乱を起したがシュルーズベリーの戦いで敗れ,斬首された。 49年に伯爵に叙せられたジョン・ティプトフト (27?~70) は,ギリシア語,ラテン語に通じた当代有数の学識豊かな人物であったが,一面ではアイルランド総督として「イギリスの殺人者」と呼ばれたほど苛烈な弾圧と無慈悲な処刑を強行し,70年捕えられて処刑された。 1514年にいたり,ヘンリー7世の外交官として活躍したチャールズ・サマセット (60?~1526) が伯爵位を授けられてからサマセット家に継承され,フランス大使をつとめた3代伯ウィリアム (26~89) ,国璽尚書をつとめた4代伯エドワード (53~1628) を経て,5代伯のときに侯家に昇格。2代侯エドワード (01~67) は清教徒革命に国王派として従軍し,敗れてパリに亡命。 1652年帰国し,2年間投獄されたのち釈放された。その後,発明に凝り,『発明の世紀』 Century of Inventions (63) という本を著わした。

ウースター
Worcester

アメリカ合衆国,マサチューセッツ州中部の都市。ボストンの西方 60kmのブラックストーン川岸に位置する。 1673年入植,1713年以後定住が進んだ。水力に恵まれず工業化は遅れたが,蒸気力が導入され,1828年の運河開通などにより綿織物を中心に急速に工業化が進み,マサチューセッツ州中部の工業中心地として成長した。機械,工作機械,金属,皮革,繊維工業などが行われる。ニューイングランドから西方およびニューヨークにいたる交通の要衝で,地方卸小売の中心でもある。クラーク大学 (1887創立) をはじめ,数多くの教育機関や美術館がある。毎年行われるウースター音楽祭 (1858) は同国最古。人口 18万1045(2010)。

ウースター
Worcester

南アフリカ共和国西ケープ州中西部の町。ケープタウン東北東約 100km,ヘックスリバー山地のふもとに位置。商科大学,工業高校,盲・聾唖学校などがあり,果樹栽培,ワイン醸造地帯の中心地で,果物,野菜の加工,機械工業,織物業なども盛ん。人口 6万6349(2001)。

ウースター
Wooster

アメリカ合衆国,オハイオ州北部,キルバッククリークの岸にある都市。 1808年に創設。 47年にこの町のドイツ系移民がアメリカで最初のクリスマスツリーを立てたという。付近にオハイオ農業研究センターがあり,市内には種々の工場がある。人口2万 2191 (1990) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウースター」の意味・わかりやすい解説

ウースター(アメリカ合衆国)
うーすたー
Worcester

アメリカ合衆国、マサチューセッツ州中部の工業都市。人口17万2648(2000)。1713年に町がつくられ、1828年ブラックストン運河の開通により、急速な工業および都市発展がみられた。機械、繊維、靴などの製造業で知られる。教育・文化の中心でもあり、クラーク大学、州立大学、ウースター工科大学や、多くの博物館、展示館がある。発明家のE・ホイットニーやE・ハウ、歴史家G・バンクロフト、ロケット工学者ゴダードなどが居住した町としても知られている。

[作野和世]


ウースター(イギリス)
うーすたー
Worcester

イギリス、イングランド中部、ヘアフォード・アンド・ウースター県の県都。バーミンガム南南西40キロメートルにあり、人口9万3358(2001)。セバーン川の渡河点近くに発達した交通の要衝で、-cesterがつく地名の特徴からローマ時代起源と考えられる。11世紀の『ドゥームズデー・ブック』(征服王ウィリアム1世編纂(へんさん)のイングランド国勢調査書)には、「城壁と濠(ほり)で囲まれた小さな町」と記載されている。13世紀以降、手袋の生産で知られ、中世には羊毛業の中心であった。現在は18世紀に始まった製陶工業が主要な産業で、ほかに金物、工具などの製造も行われる。わが国ではウースターソースの産地として知られる。中世以来の建築物も多く、大聖堂、ギルドホール、グラマー・スクールなどはその代表である。17~18世紀の住宅も多く残っている。ピューリタン革命を勝利に導いたウースターの戦い(1651)の地。

[井内 昇]

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改訂新版 世界大百科事典 「ウースター」の意味・わかりやすい解説

ウースター
Worcester

イギリス,イングランド中部にあるヘリフォード・ウースター州(旧,ウースター州)の州都。人口8万2000(1991)。セバーン川中流東岸に位置し,交通要地であるため周辺農業地帯の中心地をなす。ウースターソースに代表される農産加工のほか,手袋,ウースター磁器の生産で知られ,ホップ市場も開かれる。680年の司教管区の新設以降,宗教の中心地となり,中世からは毛織物業が発達した。ピューリタン革命期の1651年には,〈ウースターの戦〉の戦場となり,クロムウェルがチャールズ2世を破って最終的な勝利を得た。11世紀創建の大聖堂では,ヘリフォード,グロスター各市と毎年交代で,音楽祭Three Choirs Festivalが開催される。
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ウースター
Worcester

アメリカ合衆国マサチューセッツ州中央部の工業都市。人口17万5898(2005)。1828年,ブラックストーン運河の完成後,急速に工業化が進展した。機械,金属製品,化学製品,プラスチック,電気部品,衣服,皮革などがおもな製造業である。ニューイングランドの工業中心地の一つであるが,クラーク大学,ウースター州立大学,ウースター工科大学,ホーリー・クロス大学などのある大学町でもある。1722年町制,1848年市制施行。
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百科事典マイペディア 「ウースター」の意味・わかりやすい解説

ウースター(イギリス)【ウースター】

英国,イングランド西部,ヘリフォード・ウースター州の州都。セバーン川にのぞみ,製陶業が盛んで,ウースターソースの原産地として有名。11世紀建立の主教座聖堂がある。9万4000人(2001)。

ウースター(アメリカ)【ウースター】

米国,マサチューセッツ州東部の古い工業都市。綿織物,機械,精密機械,印刷などの諸工業は1600年代にまでさかのぼる。クラーク大学をはじめ12の大学がある文教都市。18万1045人(2010)。

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