フォルサム文化(読み)ふぉるさむぶんか(英語表記)Folsom

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォルサム文化」の意味・わかりやすい解説

フォルサム文化
ふぉるさむぶんか
Folsom

北アメリカ大平原(グレート・プレーンズ)のニュー・メキシコ州東部からワイオミング州東部にかけて分布するパレオ・インディアン文化の一つ押圧剥離(はくり)技法による樋状剥離痕(ひじょうはくりこん)をもち、湾入した基部をもつ木葉形尖頭器(せんとうき)(ポイント)が特徴バイソンマンモスウマなど絶滅種の大型哺乳(ほにゅう)動物を共伴し、地質年代ではウィスコンシン氷河期最末期に比定され、放射性炭素14法による年代は1万1000~9300年前である。ニュー・メキシコ州フォルサム遺跡にちなんで命名された。

 コロラド州北東部リンデンマイアー遺跡では、樋状剥離痕をもつフォルサム・ポイントのほか、ナイフ型石器チョッパースクレーパーなどとともに骨角器、ビーズ、骨製小盤などが出土。約1万1000年前の大型獣狩猟の実態と当時の狩猟民の生活が跡づけられている。ほかにシャーバウア遺跡(テキサス州)、ブラックウォーター・ドゥロウ遺跡(ニュー・メキシコ州)などが知られている。

[小谷凱宣]

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百科事典マイペディア 「フォルサム文化」の意味・わかりやすい解説

フォルサム文化【フォルサムぶんか】

北米大陸における8000年前の狩猟民の文化。パレオ・インディアン文化の一つ。1926年米国ニューメキシコ州のフォルサムFolsomで発見された押圧剥離(はくり)によるフリント製の有溝尖(せん)頭器(フォルサム・ポイント)を特徴とし,ロッキー山脈東側高原地帯に遺跡が分布する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォルサム文化」の意味・わかりやすい解説

フォルサム文化
フォルサムぶんか
Folsom culture

北アメリカ最古の石器文化 (前1万頃~8000) 。ニューメキシコ州の同名の遺跡から発見された有溝尖頭石器に特色がある。北アメリカの中・南部の高原や,ロッキー山脈の東麓地帯に分布している。さらにエクアドルチリからも同系統の石器が発見されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「フォルサム文化」の意味・わかりやすい解説

フォルサム文化 (フォルサムぶんか)

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世界大百科事典(旧版)内のフォルサム文化の言及

【パレオ・インディアン文化】より

…新大陸で最古の人類文化と解釈されている先史文化の総称。パレオ・インディアンPaleo‐Indian文化は時期的には上部洪積世から沖積世初頭に位置づけられ,石器製作技術や共伴する動物相のちがいにより,プレ・プロジェクタイル・ポイント文化,プロジェクタイル・ポイント文化,パレオ極北文化に大別される。プレ・プロジェクタイル・ポイント文化は粗雑な剝片石器や礫器に特徴づけられ,ペルーのパカイカサ文化,アヤクチョ文化などに代表され,1万4000~1万5000年以前に比定されている。…

※「フォルサム文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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