フクロムシ類(読み)フクロムシるい(その他表記)rhizocephalan barnacle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フクロムシ類」の意味・わかりやすい解説

フクロムシ類
フクロムシるい
rhizocephalan barnacle

顎脚綱根頭上目に属する種類の総称甲殻類に寄生する甲殻類。雌の成体は単なる嚢状で,すべての体節構造も付属肢も退化している。体内には消化管もなく,卵巣で満たされている。繁殖方法の違いにより,ケントロゴン目 Kentrogonidaとアケントロゴン目 Akentrogonidaの 2目に分けられる。ケントロゴン目は主として十脚甲殻類(エビヤドカリカニ類)に寄生する仲間である(→十脚類)。自由生活のノープリウス幼生は二枚貝状のキプリス幼生となり,宿主にたどりつくと変態してケントロゴンという形態になる。宿主に針を刺して体中に入って成長し,宿主の体外に嚢状の卵巣を出す。雄のキプリス幼生は卵巣の開口部から入り,雌の体内で精子をつくる細胞塊になる。アケントロゴン目では,キプリス幼生が直接宿主へ侵入する。フクロムシに寄生されたカニやヤドカリ類は生殖能力を失い,寄生去勢の状態となってしまう。ケントロゴン目では,イソガニヒライソガニ腹部に寄生するウンモンフクロムシ Sacculina confragosa,ヨツハモガニやイッカクガニに寄生するケハダフクロムシ S. pilosellaカニダマシに寄生するイタコフクロムシ Lernaeodiscus okadai,ヤドカリ類の腹部に寄生するナガフクロムシ Peltogaster paguri などがよく知られている。アケントロゴン目には,カニ,ヤドカリ,エビ,口脚類など多くの種に寄生するツブフクロムシ Thompsonia japonica などがいる。(→顎脚類節足動物

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