甲殻綱口脚目Stomatopoda(トゲエビ目Haplocaridaともいう)に属する節足動物の総称。シャコ類が含まれる。カマキリの脚に似ている強大な第2胸脚は,この類に特有で捕脚と呼ばれる。これで餌となる動物をとらえる大型の海産甲殻類。体は細長であるが,独特な形の大きな体節からなる。第1触角は3肢に分かれている。大きな複眼は柄があり動く。胸脚のうち最初の5対は,捕脚も含め,形,機能ともに摂食に適した顎脚に変じ,後の3対だけが歩脚となっている。額角が背甲に関節のようなものでつながり,可動であることなどはコノハエビ類に似ている。心臓が胸部と腹部を貫き,管状をしており,体節ごとに心門が開いていることおよび現生口脚類に似た化石が古生代白亜紀から出ていることなどは,この類が原始的であることを示している。胸部が8胸節からなることと,生殖孔の位置などは軟甲亜綱の一員である特徴を表しているが,口脚類は他の類との間に深い類縁関係を示すような特徴の少ない孤立した群である。
日本でふつうに見られるシャコOratosquilla oratoriaのように多くは浅海の砂泥底に穴を掘ってすむが,フトユビシャコGonodactylusなどのようにサンゴ礁にすむものもあり,深海からも少数の種が知られている。成体の行動範囲はごく狭いのに対し,この類の浮遊期の幼生は思いがけない遠方の海に現れる。地中海産のシャコSquilla mantisの幼生がイギリス海峡に現れたり,トラフシャコLysiosquillaの幼生がアラビア海の中央部やミンダナオ島の東500km,カロリン諸島の西150km沖の洋上で採集されたりする。このように,幼生は海流などではるか遠くまで運ばれ,分布を広げる。口脚類は,体長1~30cmくらい,400種以上が知られ,熱帯海域を中心に暖海に多くの種類が分布しているが,寒海にはきわめて少ない。インド洋,太平洋と大西洋との共通種はきわめて少ない。日本には50種ほどが知られている。日本,イタリア,ベンガルなどで食用としている。
→シャコ
執筆者:蒲生 重男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…口脚目シャコ科の甲殻類(イラスト)。広義には口脚類Stomatopoda一般を指す呼称としても用いられる。シャコOratosquilla oratoriaは体長15cmくらい。北海道以南~中国沿岸に分布し,内湾の砂泥底にすむ。日本沿岸にもっともふつうで,大量に漁獲され,他のごく近似の種類とともに食用とされる。生きているときは体表には灰白色の地に暗色の小点が散在しているが,煮るとエビやカニのように赤くならずに赤紫色になる。…
…口脚目シャコ科の甲殻類(イラスト)。広義には口脚類Stomatopoda一般を指す呼称としても用いられる。シャコOratosquilla oratoriaは体長15cmくらい。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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