結晶にX線を当てると、X線と結晶との方位関係が適当である場合には、X線が結晶格子によって回折され特定の方向に強い回折X線をつくる。これらは連続する結晶格子面による反射X線がブラッグの式によって干渉して強め合う現象とみなすことができるため、しばしばX線のブラッグ反射ともいう。簡単な構造の結晶では格子面は互いに平行な等間隔の原子面の集まりである。隣り合う格子面間の距離を格子面間隔という。いまその値をd、X線が格子面となす角をθ、X線の波長をλとし、またnを任意の整数とすれば、各格子面で反射されたX線波が強め合ってブラッグ反射をつくる条件は
2dsinθ=nλ(ブラッグの式)
の等式関係で与えられる。この条件をブラッグ条件( )といい、イギリスのW・L・ブラッグが1912年に導いたが、これは別形式のラウエ条件とよばれるものと実質的に同等である。X線は波長が1オングストローム(0.1ナノメートル)程度で、1~数オングストローム程度の間隔の格子面に対してブラッグ条件を満たしうるが、同様に短い波長をもつ電子波や中性子波もブラッグ反射をおこすことができる。結晶の原子的構造の決定はブラッグ反射の測定に基づいて行う。なお面間隔dの値は格子面の面指数(hkl)によって決まった値をもつ。与えられた格子面とX線波長に対してブラッグの式を満足するような角θをブラッグ角という。
[三宅静雄・石田興太郎]
「ブラッグの条件」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この場合,相手が結晶格子のように一定の秩序をもって整列しているなら,散乱波は相互に干渉して特定方向の入射波に対してだけ強くなる。これをブラッグ反射という。ブラッグ反射の条件は波長をλ,格子間隔をdとすると,2dsinθ=mλ(mは整数)である。…
※「ブラッグ反射」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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