改訂新版 世界大百科事典 「ブリヂストン美術館」の意味・わかりやすい解説
ブリヂストン美術館 (ブリヂストンびじゅつかん)
東京都中央区京橋1丁目に所在。ブリヂストンタイヤの創業者石橋正二郎(1889-1976)が多年にわたって収集した美術品を公開する目的で開設された美術館。開設は1952年。大原美術館(倉敷)と併称される日本における財団法人美術館の代表的なものである。印象派を中心とするフランス19世紀絵画とエコール・ド・パリの絵画が収集作品の中核となっている。石橋正二郎が郷里久留米で坂本繁二郎のすすめによって,1930年に青木繁の作品をはじめて購入したところに,収集の端を発し,黒田清輝以後の日本の近代洋画の収集作品もまた,きわめて充実した内容をもっている。61年に石橋財団が設立され,パリ国立近代美術館で〈石橋コレクション展〉を開催している。黒田清輝,藤島武二の生誕百年展,あるいは浅井忠,青木繁,安井曾太郎など,その作品の全貌をあきらかとする特別展を開催。基本は収集作品の常設展示であるが,美術館運営としてもユニークな活動を展開。とくに公開の〈土曜講座〉はコレクションと関係のある作家や時代ないし広く文化史全般とかかわるテーマをたてて開催され,多くの美術愛好家に親しまれて今日に及んでいる。コレクションも近年,日本に少ない古代ヨーロッパ世界の彫刻,工芸品類も加わって積極的な拡充が図られている。
執筆者:酒井 忠康
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報