ブリュメール18日(読み)ブリュメールじゅうはちにち(英語表記)le 18 brumaire

改訂新版 世界大百科事典 「ブリュメール18日」の意味・わかりやすい解説

ブリュメール18日 (ブリュメールじゅうはちにち)
le 18 brumaire

1799年11月9日,フランスでナポレオン・ボナパルトが総裁政府を倒して権力を掌握したクーデタをいう。その日が,当時行われていた共和暦では共和第8年ブリュメール18日に当たるので,この名がある。フランス革命は,1794年7月にテルミドール反動ロベスピエールが失脚してから退潮に向かい,95年の憲法で5人の総裁が行政権を担当する総裁政府が樹立されたが,この総裁政府は,左翼急進派右翼の王党派との脅威にさらされて動揺を重ねていた。そこで,総裁政府を支えていた有産市民たちは,もっと強力な権力によって秩序を安定させることを望むようになった。こういう状況を知ったナポレオンは,遠征中のエジプトから帰国して,この日に軍隊の力を用いてクーデタを行い,3人の執政からなる執政政府(統領政府ともいう)を樹立し,みずから第一執政(第一統領)となって実権を掌握し,軍事的独裁を開始した。このような意味で,ブリュメール18日は,軍隊を利用して独裁権を獲得するクーデタの典型とされる。
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百科事典マイペディア 「ブリュメール18日」の意味・わかりやすい解説

ブリュメール18日【ブリュメールじゅうはちにち】

1799年11月9日(フランス革命暦ブリュメール18日),ナポレオン総裁政府を倒した軍事クーデタ。彼は執政政府を樹立,自ら第一執政となった。フランス革命はここに終わったとされる。
→関連項目エジプト遠征シエイエスフーシェ

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ブリュメール18日」の解説

ブリュメール18日(ブリュメールじゅうはちにち)
le 18 brumaire

1799年11月9日にナポレオン総裁政府を倒したクーデタ。この日が共和暦8年ブリュメール18日にあたるのでこの名があり,軍隊を利用したクーデタの一典型とされる。

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