コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ベルベル Berber

翻訳|Berber

大辞林 第三版の解説

ベルベル【Berber】

ベルベル諸語を使用し、アフリカ北部に居住する人々の総称。アラブ侵入以前の北アフリカの住民で、七世紀以来イスラム教化。現在はモロッコ・アルジェリア・チュニジアなどに多く住む。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

百科事典マイペディアの解説

ベルベル

アルジェリア,モロッコなど北アフリカ一帯の先住民ベルベル諸語を話す人びと。約1000万人。〈ベルベル〉はラテン語のバルバルス(文明化されていない人びと)に由来するといわれる。
→関連項目アイット-ベン-ハドゥの集落アトラス[山脈]アルジェリアガーナ王国サハラ砂漠トゥアレグ西サハラマグリブ民族スポーツムーア人

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ベルベル【Berber】

北アフリカからサハラ砂漠にかけての広い地域に先史時代から生活する,ベルベル諸語を話す人々の総称。ベルベルという呼称は,ラテン語のバルバルスbarbarus(ローマ世界の外に住む文明化されていない人間を指す)に由来するともいわれる。彼ら自身は,イマジゲンImazighen(単数Amazigh,〈高貴な出の人間〉の意)などと自称する。人種的にはコーカソイド(白色人種群)に属するが,体格・容貌ともに変異の幅が大きく,四つの亜人種型に分けられる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ベルベル
べるべる
Berber

北西アフリカに住み、ベルベル語を話す民族。エジプトのシワ・オアシスからカナリア諸島、山岳地、サハラ砂漠一帯に分布。推定数1200万人のうち、モロッコが750万人(同国人口の35~40%)、アルジェリアが350万人(同国人口の20%)を占め、チュニジア、リビアなどは10万人程度にすぎない。ベルベルの名称はギリシア語の「バルバロイ」(ギリシア世界の外に住む非文明人を意味)に由来するが、彼らはアマジグ(複数形イマジゲン、高貴な出の人間、自由人の意)と自称。民族系統は地中海人種の一系統に属するといわれるが不明。言語的にはアフロ・アジア語族に属し、方言群からザナータ系、マスムーダ系、サンハージャ系の三つに大別される。一部の儀礼的文字(ティフナグ)以外に固有の文字をもたない。
 彼らの遺跡は紀元前1万年以上も前の石器時代までさかのぼれる。歴史時代に入ってフェニキア人、ギリシア人の植民、ローマ、バンダル、ビザンティンの支配を受けたが、それらは海岸部の諸都市に限られ、深い影響を残さなかった。これに対し、紀元後7世紀から始まるアラブの侵入・征服は、その初期にベルベル人の指導者クサイラやカーヒナらの抵抗を鎮圧すると、ベルベル人をしだいにイスラム化、アラブ化していった。ムラービト朝(1056~1147)、ムワッヒド朝(1130~1269)、マリーン朝(1196~1465)はイスラム化したベルベル人の王朝である。アラブ化の進行の要因は7世紀から始まる征服活動、11世紀のアラブ遊牧民であるヒラール人とスライム人の侵入、12世紀以後のモロッコ南北へのアラブの移住、レコンキスタの圧迫後、イベリア半島からのアラブ系住民の流入などの外的要因と、これらと並行して地域社会内部で進むアラブとの混血およびアラビア語・アラブ文化の浸透、14世紀後半から顕著になるアラブ血統意識(シャリフィズム)の高揚などの内的要因とが考えられる。こうしたアラブ化の進行により、ベルベル人の居住地域は山岳地、砂漠、島などに偏在するようになったが、反面ではモロッコのリーフ山地を舞台にしたアブド・アルカリームの反乱(1921~26)、アルジェリア独立戦争(1954~62)でのカビール人の戦いなどでは、その居住地の環境が生かされた。しかし、20世紀に起こったベルベル人の反乱は政策への不満を表明したもので、民族意識に基づく自治や独立を目ざしたものではない。最近のアルジェリアのカビール地方での「ベルベルの春」事件(1980)も同様であるが、そこには言語、音楽、詩などのベルベル文化の覚醒(かくせい)と復古への強い要求がみられる。最近まで慣習法、民主的評議会、部族同盟が存在したが、急速に崩壊しつつある。家族、村落の規模はアラブより小さく、父系制が中心で、一部トゥアレグ人のように母系制。生活形態の柱は農業と遊牧であるが、フランスへの出稼ぎを含む都市生活者も相当数いる。女性にはベルベル語しか話さない者が多いが、都市生活者はアラビア語やフランス語との二重または三重言語使用者である。[私市正年]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のベルベルの言及

【ベルベル諸語】より

…アフロ・アジア語族(ほぼ旧来のハム・セム語族に相当。〈アフリカ〉の項の[言語]を参照)の下位グループで,北アフリカからサハラにかけて分布している。東端に分布するのはエジプトのシワ・オアシスのシワ語Siwaで,リビアのソクナ語Sawknah,チュニジアのジェルバ語Jerba,アルジェリアではサハラのムザブ語Mzabi,海岸山地のカビール語Kabyleがある。モロッコでは,リフ山地の多くの方言(Riff),タマジット語Tamazight,シルハ語Shilhaがあり,モーリタニアに入ってゼナガ語Zenagaがある。…

【アフリカ】より

…他方,ピグミーはネグリロNegrilloとも呼ばれ,身長137~159cmの短身,皮膚は黄褐色ないし淡褐色で,目の色は褐色,頭型は短頭にちかい中頭(指数79),胴長短足,体毛があり,鼻根がへこんだ顔つきである。もと大陸の大部分はサンとピグミーが占めていたが,西アフリカのギニア湾沿いの森林には黒人(ニグロイド)の故地があり,また北東部の紅海沿いにクシ系人,その西のナイル川上流にナイル・サハラ系人,そして地中海沿岸からアラビア半島にかけてベルベル,エジプト人など,ハム・セム系の人たちが分布していた。やがて東西から人口移動がおこり,約2500年前に双方が連続する。…

【サハラ砂漠】より

… 石器の上からは,不明な点の多い旧石器時代のあと,石鏃を中心とする細石器が著しいカプサ文化(いまのチュニジアのあたりが中心),握りのついた磨製石斧に特徴のあるテネレ文化(エジプト西部が中心),骨や象牙を使った銛や装身具も含むスーダン文化(ナイル中流あたりが中心)などの新石器文化が認められる。
[住民]
 (1)アラブの侵入以前のベルベルと総称される住民,(2)西アジア起源のアラブ,(3)ムーア人(モール人)と総称される著しくアラブ化された住民,(4)サハラ以南起源の黒人,の四つに大別できる。(1)ベルベルの語源は不明であるが,古代ローマ人が北アフリカの住民を指したバルバルスbarbarus(異人),あるいは北アフリカの住民の一集団の名Bavaresがアラブを経て受け継がれたらしい。…

【マグリブ】より


[住民とそのアラブ化]
 マグリブには,大きく分けて三つの系統に属する人々が住んでいる。先住民であるベルベル系,7世紀以後に移住してきたアラブ系,サハラ南部地方に多い黒人系の三つである。ベルベルとは,上述のバルバリアという地名と同様,古代ギリシア人やローマ人による〈バルバロス(バルバロイ)〉の呼称に由来する。…

※「ベルベル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

ベルベルの関連キーワードムハンマド・イブン・アブドゥッラー イブン・バットゥータターリク・ブン・ジヤードターリク・ブン・ジヤードイブン・トゥーマルトイブン・バットゥータサンハージャ部族アトラス[山脈]タマンラセットクサールハッジズウェーラ門ティジウズーダルシサイドセジュナンタタウィンメクネス州ナールートルスタム朝バーバリーゼナータ族ホセイマ州

今日のキーワード

ムガベ大統領

1924年、英植民地の南ローデシア(現ジンバブエ)生まれ。解放闘争に参加し、80年にジンバブエを独立に導いた。同年から首相、87年から大統領として実権を握り続けた。2000年以降は白人農場主の農園を強...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

ベルベルの関連情報