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ベンゼン環 ベンゼンカン

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デジタル大辞泉の解説

ベンゼン‐かん〔‐クワン〕【ベンゼン環】

ベンゼンなどの芳香族化合物に含まれる、6個の炭素原子からなる正六角形の構造。炭素の六員環。略記法では、炭素および水素原子を省略して示す。ベンゼン核。

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大辞林 第三版の解説

ベンゼンかん【ベンゼン環】

ベンゼンの炭素原子六個がつくる平面正六角形の構造で、芳香族化合物の特性を示す。ベンゼン核。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ベンゼン環
べんぜんかん
benzene ring

ベンゼンをはじめとして各種の芳香族化合物に含まれる6個の炭素原子からなる環のことをいう。ベンゼン核ともいう。イギリスのM・ファラデーが1825年、ガスの燃焼に伴って生成するのを認めたのがベンゼンの発見の最初であるが、その後ドイツのE・ミッチェルリヒ安息香酸の塩から合成した。
 現在よく使われているの(1)の構造式は、ドイツのF・A・ケクレが最初に提案した式である。この構造式ではベンゼン環は3本の二重結合により表されているが、実際には非常に安定な物質で付加反応を行わないことは、当時としては不可解で、ケクレ自身も二重結合の位置が入れ替わった二つの構造式を書いてその中間の性質をもつと考えていたようである。
 ベンゼンの安定性を完全に理解するには量子力学の助けが必要で、量子力学が世に出た直後の1930年前後にL・C・ポーリングの共鳴理論とE・A・A・J・ヒュッケルの分子軌道理論により、ベンゼンが正六角形の構造をもっていて安定であることが理論的に説明された。これらの理論は、ベンゼン環の3本の二重結合をつくっている6個のπ(パイ)電子は二つの特定の炭素原子間で二重結合を生成しているのではなく、環の6個の炭素原子上に非局在化していて、エネルギー的に安定な状態であることを示し、初めてベンゼン環の安定性の秘密が解明された。
 ベンゼン環のすべてのC-C結合の長さはおよそ0.1399ナノメートルで、この結合距離はエチレンのC=C二重結合の0.134ナノメートルとエタンのC-C単結合の0.154ナノメートルのちょうど中間であり、環は正六角形構造をとっていて、6個の水素を含めてC6H6の全原子が同じ平面上に位置している。このことはπ電子が非局在化しているとする理論とよく一致している。エチレンなどの不飽和化合物が容易に付加反応をおこすのに対し、ベンゼン環は付加反応よりも置換反応を行うという特徴をもっている。この特徴も、ベンゼン環に付加がおこると、非局在化により安定化していた6π電子系が壊れて不安定になるので付加がおこらないと考えれば説明できる。[廣田 穰]

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