不飽和化合物(読み)ふほうわかごうぶつ(英語表記)unsaturated compound

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

不飽和化合物
ふほうわかごうぶつ
unsaturated compound

有機化合物のなかで炭素‐炭素原子間に二重結合(C=C)や三重結合(C≡C)をもつ化合物をいう。環状構造にこれらの多重結合をもつものも不飽和化合物に含まれるが、ベンゼンなどの芳香環は除く。一般に不飽和結合は容易に付加反応をおこすが、芳香環は置換反応を行うことで区別される。炭素とヘテロ原子(炭素以外の原子)間の多重結合を含む場合、一般には不飽和化合物とはいわない。すなわちアセトンCH3COCH3は飽和ケトンであり、パルミチン酸CH3(CH2)14COOHも飽和脂肪酸である。これに対してカルボキシ基-COOHのほかにC=C二重結合をもつオレイン酸CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOHは不飽和脂肪酸である。

[佐藤武雄・廣田 穰 2015年7月21日]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ふほうわ‐かごうぶつ フハウワクヮガフブツ【不飽和化合物】

〘名〙 分子内の炭素原子間に、二重結合または三重結合を含む有機化合物の総称。芳香族化合物は、環に二重結合をもっていても、不飽和とはいわない。〔稿本化学語彙(1900)〕

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化学辞典 第2版の解説

不飽和化合物
フホウワカゴウブツ
unsaturated compound

C原子間の二重結合,三重結合を含む化合物.これらの化合物は,水素,ハロゲン,ハロゲン化水素などを付加して飽和化合物にかわる性質を示すので,化学的親和力が飽和していないという意味でこのように分類される.これらの反応を含む不飽和化合物の種々の反応は,π電子などに対する求電子反応である.芳香環の構造をもったものは,芳香族化合物として扱い,普通,不飽和化合物に入れない.また,炭素以外の原子を含む多重結合,

,-C≡N
などをもつものも不飽和化合物とはいわない.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

不飽和化合物
ふほうわかごうぶつ
unsaturated compound

飽和結合をもつ化合物の意味であるが,通常,炭素-炭素二重結合 (エチレン結合) および三重結合 (アセチレン結合) をもつ化合物に限っていう。ベンゼン環やその他の芳香環は炭素-炭素二重結合をもつが,この結合は通常のエチレン結合と異なるので,これらのを含んでいても不飽和化合物とはいわない。またカルボニル基シアノ基などの不飽和結合を含む化合物も,炭素-炭素不飽和結合を含まなければ不飽和化合物とはいわない。

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百科事典マイペディアの解説

不飽和化合物【ふほうわかごうぶつ】

炭素連鎖中に不飽和結合(二重結合三重結合)をもつ有機化合物総称水素などが付加する反応を起こしやすいので,この名がある。ベンゼン環のような場合は,構造が安定していて付加反応が起こりにくいので,芳香族化合物についてはスチレンのように側鎖に不飽和結合をもつものを除き,ふつう不飽和化合物には含めない。
→関連項目飽和化合物

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世界大百科事典 第2版の解説

ふほうわかごうぶつ【不飽和化合物 unsaturated compound】

有機化合物のうち,炭素骨格に多重結合(二重結合または三重結合)を含む化合物をいう。これに対し,炭素骨格に多重結合を含まない化合物を飽和化合物という。官能基をもたない炭化水素の範囲では,二重結合1個をもつアルケン,三重結合1個をもつアルキンが代表的不飽和化合物である。多重結合を2個以上もつものも不飽和化合物である。環式炭素骨格に多重結合を含むものもある。(化学式) これらの不飽和化合物はいずれもその多重結合にもとづく高い反応性を示す。

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