改訂新版 世界大百科事典 「ホッコクアカエビ」の意味・わかりやすい解説
ホッコクアカエビ (北国赤蝦)
Pandalus borealis(=P.eous)
十脚目タラバエビ科の甲殻類。寒海性の食用エビで,水産業上の重要種。体長12cmほどになる。体色は一様に紅赤色で,アカエビ,ナンバンエビ,トンガラシなど多くの地方名がある。近年では各地でアマエビの名が通りがよいが,刺身にしたときに甘みがあるためである。日本海沿岸各地からベーリング海,北大西洋まで広く分布し,水深150~300mの泥底にすむ。日本海ではトヤマエビに次いで漁獲量が多い。また北ヨーロッパでも多量にとられている。額角(がつかく)の長さは頭胸甲の約1.5倍あり,上縁に12~16本(頭胸甲上に4~5本),下縁に6~9本のとげがある。第3腹節の背正中線上に鋭いとげが1本あるのが特徴。第1胸脚ははさみをもたず,第2胸脚は細長く,はさみをもち,腕節が60内外の節に分かれる。他のタラバエビ類と同様に雄性先熟の性転換をするので,大型個体はすべて雌である。食性,生殖時期などはよくわからない。
執筆者:武田 正倫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報