物体に照射して回折を受けた光の波長分布を,位相を含めて記録し,再生する技術をホログラフィーといい,そこで得られる干渉じまを感光材料に記録したものをホログラムという.位相の情報を失うことなく記録するため,レーザー光のようなコヒーレントな光(信号波)を被写体で回折させ,それと照明光(参照波)の一部をある角度で交わらせて干渉させ,生じた干渉じまを記録する.ホログラムを一様な単色平行光で照射すると,受影時の信号波が再生し,物体の立体像が観察できる.干渉じまを記録するので,ホログラムのどの部分にも全情報が含まれ,したがってホログラムの一部からでも像の再生が可能である.ホログラム材料としては2000本/mm 程度の解像力が要求される.干渉じまを濃度変化として記録する振幅型ホログラムには,高解像力乾板が用いられる.表面変形や屈折率の変化として記録する位相型ホログラムのうち,表面変形として記録するものには光レジスト,サーモプラスチック記録材料が使われ,屈折率の変化の記録には二クロム酸ゼラチン,光ポリマーなどが使われる.また,位相型ホログラムとするため,銀塩材料を現像後,銀を漂白する処理も行われている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…たてに長い開口を例にとって回折の強度分布を説明すると,中心のもっとも明るい部分は開口のすべての部分からの光がほとんど同じ位相で重ね合わされたところ,最初の暗部は開口の長さの半分だけ離れた開口上の2点からの光の光路差が半波長で,開口の上半分からの光と,下半分からの光とが干渉して消えてしまうところであり,第2の明るい部分は開口を三等分して,そのうちの二つを通る光が干渉して消し合い,残り一つを通る光で光の強度が決まるところである。 物体によるフレネルの回折波に,この光とよく干渉する平行光を参照光として重ね合わせて干渉縞を作り,写真乾板に記録したものをホログラムhorogramという。ホログラムに平行光を入射すると,直進する透過光のほかに,先ほどのフレネルの回折波が出てくる。…
… 光情報処理技術もレーザーにより大きく進展した。その中心はレンズを用いたアナログフーリエ変換の手法と光の複素振幅の記録を可能にしたホログラムである。前者に関しては画像を回折現象によりフーリエ変換像にして,空間周波数スペクトルに分解し,マッチドフィルターを通して,信号対雑音比を改良したり,また非線形光学素子を組み合わせた光論理演算器の研究が進んでいる。…
※「ホログラム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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