改訂新版 世界大百科事典 「ボウラン」の意味・わかりやすい解説
ボウラン
Luisia teves (Thunb.) Bl.
常緑の着生ラン。葉が棒状であるため,この和名がつけられた。茎は葉鞘(ようしよう)に包まれている。葉は2列に互生し,細長い円柱状,長さ10cm前後,径3~4mm。7~8月,葉腋(ようえき)に1~4花をつける。花は径1cm前後,萼片と花弁は淡緑色。唇弁は黒褐色をおび,基部に小さな側裂片があり,中裂片は先端で浅く2裂する。距はない。本州中部以西の西日本,琉球,台湾,中国に分布し,暖温帯林の樹上に着生する。
ボウラン属Luisiaは棒状の葉,距のない唇弁などで近縁の属から区別され,約40種が旧熱帯を中心に分布している。日本にはもう1種ムニンボウランL.occidentalis Lindl.が小笠原にあり,唇弁の形が異なるので区別される。数種が趣味的に栽植される。
執筆者:井上 健
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