日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボージュ山脈」の意味・わかりやすい解説
ボージュ山脈
ぼーじゅさんみゃく
Vosges
フランス北東部の山塊。長さ125キロメートルにわたり、アルザスとロレーヌ両地方にまたがって位置する。古生代にヒルカニヤ造山運動によって形成された古い褶曲(しゅうきょく)山脈で侵食が進んでおり、最高点は標高1424メートル(グラン・バロン山)とあまり高くない。所々に侵食から取り残されたバロンとよばれる半球状の峰と、山脈を東西に横断する峠がある。年降水量は1200~1500ミリメートルで積雪も多い。ライン川の河谷に面する南東斜面に比べ、北西斜面は緩傾斜で、偏西風の影響により雨量も多く、年降水量2000ミリメートルを超える所もあり、モミ、ブナなど植生もより豊かである。地質的にはより高度の高い南部の結晶岩質ボージュと北部の砂岩質ボージュに二分される。散村地帯であるが、豊富な水資源により水力発電、亜麻(あま)・綿織物工業が盛ん。中心都市はエピナルとサン・ディエ。
[高橋 正]