マクロ経済スライド(読み)まくろけいざいすらいど

知恵蔵の解説

マクロ経済スライド

年金額を決める際、物価賃金だけでなく、年金支え手である現役世代の減少や、高齢化により年金を受ける期間が延びることなどを反映させる仕組みのこと。2004年の年金改正で導入され、これにより年金の給付水準を抑制する。具体的には、賃金の伸びや物価の伸びからスライド調整率(公的年金全体の被保険者の減少率0.6%、平均余命の増加0.3%)を差し引く。この調整は04年度から23年度まで続くが、その間は物価や賃金が大きく伸びても0.9%削減される。ただし、年金が名目以下になる場合は、年金額の伸びがゼロの時点でとどめられるので、名目の年金額がマイナスになることはない。

(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

マクロ経済スライド

少子高齢化が進んでも年金財政が維持できるように、年金給付額の伸びを物価上昇率より0・9%分抑える仕組み。ただ、物価下落時には適用しないルールで、2004年の導入以来、一度も実施されたことがない。政権はデフレ下でも実施できるようにする見直し案を検討していた。

(2011-11-12 朝日新聞 朝刊 1経済)

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デジタル大辞泉の解説

マクロけいざい‐スライド【マクロ経済スライド】

年金の給付水準を、その時の社会情勢にあわせて自動的に調整する仕組み。公的年金全体の被保険者(公的年金に加入し保険料を支払っている人)の減少率に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3パーセント)を加えた「スライド調整率」を、年金額改定の基準となる賃金や物価の変動率から差し引くことで、年金額の伸びを抑えるもので、年金財政の均衡がとれる見通しが立つまで続けられる。平成16年(2004)導入。
[補説]賃金・物価の上昇率がスライド調整率よりも低い場合、年金額の引き下げは行われない(名目下限措置)が、平成30年度(2018)から、この措置によって調整できなかった分を繰り越して、賃金・物価が十分に上昇した年に調整する仕組み(キャリーオーバー)が導入された。賃金の変動率がマイナスで、物価の変動率より低い場合、年金額は物価を基準に減額または据え置かれるが、2021年度以降は、賃金の変動にあわせて減額される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マクロ経済スライド
まくろけいざいすらいど

公的年金の支給額を決める際、年金に加入する現役世代の減少や、受給者の長寿命化などを反映させること。従来、物価や賃金の動向を反映させて支給額を決めてきたが(物価スライド)、少子高齢化の進展(現役世代の減少、高齢者の長寿命化)により、この方式だけでは対応しきれなくなった。そこで現役世代と受給世代のバランスを確保するためのマクロ的な仕組みとして、2004年(平成16)の年金制度改正で、給付水準抑制のために導入された。具体的には、賃金や物価の伸びからスライド調整率を差し引くことで計算される。少なくとも5年に1度のペースで給付水準を検証し、スライド調整率を決定する。ただし、賃金や物価の伸びがない、いわゆるデフレ経済下ではマクロ経済スライドは適用せず、特例水準での年金支給を続ける。デフレ脱却により、2015年度からは特例水準による支給はなくなる見通しである。[編集部]

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