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マニュファクチュア論争 マニュファクチュアろんそう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マニュファクチュア論争
マニュファクチュアろんそう

幕末の生産段階についての解釈をめぐる論争。 1933年服部之総が旧来の支配的見解であった幕末=封建的小生産説を否定し,幕末=「厳密な-本来的な-意味におけるマニュファクチュア時代」 (「幕末厳マニュ段階説」) 説を提起したことに始り,この服部説をめぐって服部と土屋喬雄を基軸に,山田勝次郎,永田広志,平野義太郎らが参加して論戦が展開された。これによって史実上,概念上,方法上の諸問題が広く検討され,幕末=維新史研究は著しく深められたといえる。第2次世界大戦中の言論,思想弾圧によって論争は中断したが,この時期に一方で大塚久雄を中心とする,いわゆる「大塚史学」の影響のもとに豊田四郎,信夫清三郎らによって幕末=分散マニュファクチュア論が提起された。戦後は諸論者の分散マニュファクチュア批判,堀江英一の幕末=小営業段階説の登場,藤田五郎による「豪農マニュファクチュア」論の主張などが相次ぎ,戦前の論争復活の観があったが,どの見解も決定的なものではなく支配的となるにはいたらなかった。これを通して歴史学,経済学,政治学各領域の具体的研究を前進させ,かつそれらの方法論に絶えず反省を迫ったものとして歴史的意義は大きいといえる。

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