大塚久雄(読み)オオツカヒサオ

デジタル大辞泉 「大塚久雄」の意味・読み・例文・類語

おおつか‐ひさお〔おほつかひさを〕【大塚久雄】

[1907~1996]経済史学者。京都の生まれ。法大教授・東大教授・国際基督教大学教授。マックス=ウェーバーマルクスを研究し資本主義形成について独自の理論確立著作に「株式会社発生史論」「近代欧洲経済史序説」「共同体の基礎理論」など。平成4年(1992)文化勲章受章。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大塚久雄」の意味・わかりやすい解説

大塚久雄
おおつかひさお
(1907―1996)

西洋経済史学者。明治40年5月3日京都府に生まれる。1930年(昭和5)東京帝国大学経済学部を卒業、法政大学教授を経て東京大学教授。1968年(昭和43)定年退官後、国際基督(キリスト)教大学教授。マックスウェーバー宗教社会学の手法とマルクスの唯物史観を総合した独自の学説は「大塚史学」とよばれ、日本の経済史、思想史研究に大きな影響を及ぼしている。『株式会社発生史論』(1938)を経て生まれた主著『近代欧洲(おうしゅう)経済史序説』(1944)は、イギリスの近代的産業資本の形成主体を農村の中産的生産者(ヨーマン)に求め、日本資本主義の前近代性を強く示唆した労作として名高い。『近代資本主義系譜』(1946)、『宗教改革と近代社会』(1948)も第二次世界大戦後の民主化の気運をリードした。その後、『共同体の基礎理論』(1955)で共同体の諸類型の歴史から近代社会の生成を説く一方、『社会科学の方法』(1966)、『社会科学における人間』(1977)ではマルクス疎外論とウェーバーの経済倫理分析を駆使しながら、現代世界の人間類型の学際的研究を提唱するなど視野は広い。1992年(平成4)文化勲章を受章。東京大学名誉教授。

[望月清司]

『大塚久雄・安藤英治・内田芳明・住谷一彦著『マックス・ヴェーバー研究』(1965・岩波書店)』『『大塚久雄著作集』全13巻(1969~1986・岩波書店)』『『共同体の基礎理論』(岩波現代文庫)』『大塚久雄著『欧州経済史』(岩波現代文庫)』『『社会科学の方法』(岩波新書)』『『社会科学における人間』(岩波新書)』『内田芳明著『ヴェーバーとマルクス――日本社会科学の思想構造』(1972・岩波書店)』『杉山光信著『思想とその装置1 戦後啓蒙と社会科学の思想』(1983・新曜社)』

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20世紀日本人名事典 「大塚久雄」の解説

大塚 久雄
オオツカ ヒサオ

昭和・平成期の経済史学者 東京大学名誉教授。



生年
明治40(1907)年5月3日

没年
平成8(1996)年7月9日

出生地
京都府京都市

出身地
兵庫県

学歴〔年〕
東京帝国大学経済学部経済学科〔昭和5年〕卒

学位〔年〕
経済学博士

主な受賞名〔年〕
毎日出版文化賞〔昭和22年〕「近代欧州経済史序説」,朝日文化賞〔昭和43年〕,文化功労者〔昭和50年〕,勲二等旭日重光章〔昭和52年〕,文化勲章〔平成4年〕,キリスト教功労者(第25回)〔平成6年〕

経歴
法政大学助教授・教授を経て、昭和14年東京帝大助教授、22年教授、43年東京大学を定年退官し名誉教授。同年国際基督教大学教授、のち客員教授。比較経済史学の中心として活躍、「株式会社発生史論」「近代欧州経済史序説」「近代資本主義の系譜」などの業績で国際的評価をうけた。マックス・ウェーバーの宗教社会学とマルクスの唯物史観論の方法を総合した、いわゆる“大塚史学”を構築、多くの門下生を育てた。50年文化功労者。63年ウェーバーの名著プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の改訳を出版する。平成4年文化勲章受章。他の著書に「共同体の基礎理論」「西洋経済史講座」(全5巻)「社会科学における人間」、「大塚久雄著作集」(全13巻 岩波書店)などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大塚久雄」の意味・わかりやすい解説

大塚久雄
おおつかひさお

[生]1907.5.3. 京都
[没]1996.7.9. 東京
経済史学者,東京大学名誉教授。 1930年東京大学卒業後,同大学助手,法政大学助教授,同教授を経て,39年東京大学助教授,47年同教授。 68年退官後,国際基督教大学教授。近代資本主義の特質をプロテスタンティズムとの関連で究明した M.ウェーバーの影響を強く受けながら,近代資本主義の成立過程をマルクス経済史学の立場から明らかにしようとした。学術会議会員。 92年文化勲章受章。主著『近代欧州経済史序説』 (1944) ,『近代資本主義の系譜』 (46) など著書多数。『大塚久雄著作集』 (13巻) がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大塚久雄」の解説

大塚久雄 おおつか-ひさお

1907-1996 昭和-平成時代の経済史学者。
明治40年5月3日生まれ。法大教授をへて,昭和22年母校東大の教授。43年国際基督(キリスト)教大教授。ウェーバーとマルクスの影響をうけ,「株式会社発生史論」「近代欧洲経済史序説」で比較経済史研究を確立。「大塚史学」とよばれ,政治学の丸山真男,法社会学の川島武宜とともに戦後の社会科学におおきな影響をあたえた。平成4年文化勲章。平成8年7月9日死去。89歳。京都出身。著作に「近代資本主義の系譜」「共同体の基礎理論」など。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大塚久雄」の解説

大塚久雄
おおつかひさお

1907.5.3~96.7.9

昭和期の経済史学者。京都府出身。東大卒。法政大学教授をへて1939年(昭和14)東京帝国大学助教授,47年同教授。ウェーバーの宗教社会学とマルクスの唯物史観の双方を摂取しつつ,独立自営農民(中産的生産者層)の両極分解に近代的産業資本形成の歴史的起点を求めるという個性的な近代社会成立史観(大塚史学)を確立した。92年(平成4)文化勲章受章。「大塚久雄著作集」全13巻。

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百科事典マイペディア 「大塚久雄」の意味・わかりやすい解説

大塚久雄【おおつかひさお】

経済史学者。京都府出身。1939年−1967年,東京大学で西洋経済史を講じ,マルクスの経済分析をM.ウェーバーの社会学的研究法で補完統一する,大塚史学といわれる独自な史学を開拓した。主著に資本主義発生の類型を究明した《株式会社発生史論》《近代欧州経済史序説》《近代資本主義の系譜》がある。1992年文化勲章。

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367日誕生日大事典 「大塚久雄」の解説

大塚 久雄 (おおつか ひさお)

生年月日:1907年5月3日
昭和時代;平成時代の経済史学者。東京大学教授;国際基督教大学教授
1996年没

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