イタリアの彫刻家。ピストイアに生まれ、フィレンツェの美術学校に学ぶ。古代彫刻、とくにエトルリア美術の体験を根底にしながら、アルカイックな量感に満ちた人間像の彫刻から出発する。1930年代には「馬と騎士」が中心的なテーマとなり、それは60年代まで一貫して続く。さらに女性像「ポモナ」のシリーズがあり、そこでも古代的な母性のイメージが表される。第二次世界大戦を避けるためにスイスに赴き、その間アルプと知り合ったことなどから、作風は表現主義的な傾向を示し、馬と騎士の像は激しい運動感を加える。戦後はミラノに戻り、抽象的とまでいえる具象の限界に達するが、そこでもなお対象の生命力を失わない。48年と52年のベネチア・ビエンナーレ展で彫刻大賞を受賞。なお、石版などの版画も多く残している。
[小川 煕]
『吾妻兼治郎解説『ファブリ世界彫刻集17 マリーニ』(1972・平凡社)』
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