マルチ商法(読み)マルチショウホウ

デジタル大辞泉 「マルチ商法」の意味・読み・例文・類語

マルチ‐しょうほう〔‐シヤウハフ〕【マルチ商法】

multilevel marketing plan》販売会社に加盟している独立の販売員が新しい販売員をねずみ算式に増やしながら商品を販売する方法。販売員の勧誘に成功した者は昇進し、報奨金を得る。加盟者と消費者に被害が生じることがあるため、特定商取引法で勧誘方法や広告方法などについて厳しく規制される。連鎖販売取引ネットワークビジネスMLM(multilevel marketing)。下位の販売員を増やしていく図がピラミッド形に似ることから、ピラミッド商法ともいう。
[補説]ねずみ算式に会員を増やしていく点で、違法であるねずみ講無限連鎖講)と似るが、集めたお金を配当するだけのねずみ講とは商品を販売する点で区別される。

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精選版 日本国語大辞典 「マルチ商法」の意味・読み・例文・類語

マルチ‐しょうほう‥シャウハフ【マルチ商法】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] multilevel marketing plan訳語 ) 商品の販売員が、次々とその商品を再販売する他者を組織に加入させ、新しい販売員をねずみ算式にふやしながら、商品を販売する方法。投資金の回収が必然的に困難になったり、投機性がきわめて強いなど、弊害が大きいので、法律で規制されている。連鎖販売取引の通称。〔現代用語の基礎知識(1975)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルチ商法」の意味・わかりやすい解説

マルチ商法
まるちしょうほう

多層販売法multi-level marketing planの略式訳語。ピラミッド販売pyramid salesともいい、俗にねずみ講式販売とか人狩り商法ともいう。販売会社が加盟者に商品を卸す形で発足するが、加盟者が販売員となって新加盟者を連れてくると元の加盟者は昇進し(これをリクルートという)、報奨を得ることができる。このようにして次から次へと加盟者を増やす活動が反復され、組織は雪だるま式に膨張する。このような拡大の推進力となる報奨は、自分が連れてきた新加盟者の支払う加盟金の一部または全部、もしくは新加盟者の商品仕入れによる卸売利益のうちの勧誘成功報酬分である。このような商法は、物が売れるか否かに関係なく組織が拡大し、組織の拡大につれて上層部の人間はいながらにして金銭を手にするのに対し、末端加盟者は在庫を抱えざるをえないなど、人口が無限にいない限り、最末端加盟者や消費者に被害を生み出すことになる。日本では昭和40年代に流行したが、組織拡大の行き詰まりによる被害者増加、取扱商品の欠陥などのトラブルが多発したため、1976年(昭和51)訪問販売法が制定され、同法により連鎖販売取引という名称のもとに厳しく規制されることになった。1980年3月、大阪地方裁判所は、マルチ商法を行った会社に対する被害者の損害賠償請求訴訟について、マルチ商法を違法とし民事賠償を命ずる判決を初めて下した。なお訪問販売法は、2000年(平成12)に特定商取引法(昭和51年法律第57号)に改称された。また同法とは別にねずみ講禁止法(昭和53年法律第101号)が施行され、商取引を伴わないねずみ講も禁止されている。

[森本三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルチ商法」の意味・わかりやすい解説

マルチ商法
マルチしょうほう

マルチ・レベル・マーケティング・システム multilevel marketing systemの略称。通常,訪問販売の方法により行なわれるが,ねずみ算式に販売員を増やしていくため「ねずみ算セールス」と呼ばれることもある。販売員は販売会社に一定額を投資して権利を取得し,会社から購入した商品を直接小売りする利益と新販売員を勧誘して会社からの紹介料と新販売員への商品卸しによる中間マージンの利益を受けられる。このため商品販売より新販売員獲得による組織拡大に重点がおかれることとなり,種々のトラブルが発生しており特定商取引法では「連鎖販売取引」として規制されている。

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百科事典マイペディア 「マルチ商法」の意味・わかりやすい解説

マルチ商法【マルチしょうほう】

マルチレベル・マーケティング・プランの略。本部会社と独立の加盟者(販売員)が,次々に他の者を販売組織に加盟させ,組織をネズミ算式に拡大して,本部会社が指定する商品・サービスを流通させる特殊な市場開発戦略。加盟者を増やすと特定利益を与えるが,無限に加盟者を増加させることはできないので,不当なものとされ,訪問販売等に関する法では連鎖販売取引と呼んで,きびしく規制している。

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世界大百科事典(旧版)内のマルチ商法の言及

【訪問販売等に関する法律】より

…小売業のもっとも普通の形態は,販売業者が店舗をかまえ,来店した消費者に販売する〈店舗販売〉である。これに対し,近時,店舗を使用しない訪問販売通信販売・電話勧誘販売が大規模に行われ,広く普及するようになり,さらに連鎖販売,いわゆるマルチ商法も出現して消費者との間でトラブルを生ずるようになった。これらの販売形態を総称して〈無店舗販売〉とか〈特殊販売〉というが,訪問販売・通信販売・電話勧誘販売とマルチ商法とでは,その性格はまったく異なる。…

※「マルチ商法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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