ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マーコウィッツ」の意味・わかりやすい解説
マーコウィッツ
Markowitz, Harry
[没]2023.6.22. カリフォルニア,サンディエゴ
ハリー・マーコウィッツ。アメリカ合衆国の経済学者。フルネーム Harry Max Markowitz。株式市場におけるリスクとリターンの評価,企業株式と債券の評価に関する理論で,1990年にウィリアム・F.シャープ,マートン・H.ミラーとともにノーベル経済学賞(→ノーベル賞)を受賞した。
シカゴ大学で学び,1947年学士号,1950年修士号,1954年博士号を取得。1952~60年,1961~63年にカリフォルニア州サンタモニカのシンクタンク,ランド研究所 RAND Corporationに勤務,そこでシャープと出会う。1963~68年統合分析センター Consolidated Analysis Centers, Inc.でさまざまな職を経験したのち,1968~69年カリフォルニア大学ロサンゼルス校,1969~72年アービトレージ・マネジメント Arbitrage Management Company,1974~83年 IBMの T.J.ワトソン研究センターを経て,ニューヨーク市立大学バルーク校の金融学教授,1994年にカリフォルニア大学サンディエゴ校の経済学教授となる。マーコウィッツは分散された,すなわちリターンを最大化しリスクを最小化する「最適な」optimal資産の組み合わせ(ポートフォリオ)の実際性を,ポートフォリオ理論で証明した。これにより,さまざまな資産を取り巻くリスクレベルを測定し,複数の資産を組み合わせる手法は日常的な投資手順となった。また,SIMSCRIPT(シムスクリプト)と呼ばれるシミュレーション言語を開発し,経済分析プログラムの記述に利用した。主著に『ポートフォリオ選択論』Portfolio Selection(1959),『ポートフォリオ選択と資本市場における平均分散分析』Mean-variance Analysis in Portfolio Choice and Capital Markets(1987)がある。
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