マージーサイド(読み)まーじーさいど(英語表記)Merseyside

翻訳|Merseyside

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マージーサイド」の意味・わかりやすい解説

マージーサイド
Merseyside

イギリスイングランド中北部西寄りの地域。ウィラルセフトンセントヘレンズノーズリーリバプールの 5地区からなる。中心都市リバプール。1974年の行政改革により,それまでのランカシャー県の南西部とチェシャー県の北西部をもって特別県として新設されたが,1986年に廃止され行政機能を失った。マージー川河口の三角江(エスチュアリー)の両岸一帯を中心とした地域で,西はアイリッシュ海に面する。大部分低地からなり,18世紀までは排水の悪い泥炭地が広がっていた。古代,中世を通じて辺境の未開発地帯であったが,17世紀に西インド諸島との貿易が盛んになるにつれて発展し始め,製糖その他の加工業も行なわれるようになった。特にリバプールは背後にランカシャーの織物工業地帯を控え,原料の綿花と製品の綿布の取り引きを独占して繁栄。また港湾活動の活発化に伴ってバーケンヘッドを中心に造船,船舶修理などの工業が発達し,19世紀には人口増加とともに都市域が急速に拡大した。1930年代には大不況の影響を受け,厳しい不況に見舞われたため,1949年開発地域に指定され,自動車,電機などの工業が導入された。化学工業も重要であるほか,地域内各地に建設された工業団地に各種軽工業が立地し,経済の多角化がはかられている。また砂質ロームを主とした肥沃な土地に恵まれ,集約的な耕種農業が行なわれ,ジャガイモ,豆類蔬菜などを産する。海岸沿いにはクロズビー,フォーンビー,サウスポートなどの海浜保養地が立地する。アイルランドと文化的,宗教的なつながりが深く,独特のリバプール方言も相まって,きわめて強い郷土意識をもつ地域でもある。面積 645km2。人口 136万7100(2005推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マージーサイド」の意味・わかりやすい解説

マージーサイド
まーじーさいど
Merseyside

イギリスにおいて1974年に新設されたマージー川河口一帯のメトロポリタン・カウンティ(大都市圏)。1986年、保守党政権により自治体機能は廃止されたが行政区名称としては存続している。面積655平方キロメートル、人口140万3642(1991)。中心都市はリバプール。ほかにバーケンヘッド、セント・ヘレンズ、ブートルなどの工業都市がある。

[久保田武]

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世界大百科事典(旧版)内のマージーサイドの言及

【イギリス】より

…南部のランカシャー・チェシャー平野の土壌,気候は農業に適し,小麦,エンバクの栽培と肉牛,豚の飼育による混合農業または酪農が行われる。この平野にはマンチェスターを核とする大マンチェスターおよびリバプール中心のマージーサイドの両大都市圏が形成されており,前者はかつてランカシャー炭田を背景に綿工業で繁栄したが,その比重は低下しつつある。また後者は臨海部のため,石油化学・造船・製粉などの工業に特色を有している。…

【ランカシャー】より

…また,ジェニー紡績機のJ.ハーグリーブズ(ブラックバーンの織布工),水力紡績機のR.アークライト(プレストンの理髪師),ミュール紡績機のS.クロンプトン(ファーウッドの紡織工)らの発明家が輩出した。しかしマンチェスター周辺のボールトン,オールダム,ブラックバーンなどにおける綿工業は,第2次大戦後衰退して機械工業などへの転換が進み,工業の中心もリバプールを核に精油,食品,自動車,造船の諸工業が発展するマージーサイド工業地域へ移動しつつある。また海岸線が変化に富むため,ブラックプール,フリートウッドなどが海岸保養地となっている。…

※「マージーサイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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